第11話  中学生の恋は、悩みの中。2人の、これからは…。だって…。ユキは…。本当は…。「恋の神様は、恐ろしい。こんな恋も、あったのか…」

 「忘れたいよ。たまたま知っちゃった、あんなことなんて…。忘れて、雪のように、溶けちゃえば、良いのにさ…」

 知ってしまったことは、どう解消すれば、良かった?

 「これが、トランスジェンダーの社会の、現実なんだよ」

 チャラ~ン…。

 性別ガチャをはじめてから、1年近くが、経っていた。

 「ケイ先輩?」

 「何だい、ユキちゃん?」

 「そろそろ、卒業ですね」

 「ああ」

 「私は、まだ、時間がある…かな?」

 「後輩、だもんね」

 「…」

 「とりま、俺は、いきたい高校に受かって良かったよ」

 「良かったですね、先輩?」

 「…これから、どうしようか?」

 「私と先輩のこと、ですよね…?」

 そこで、言葉が、続けられなくなってきていた。

 ケイは、激しく、悩んだ。

 あのことを…。

 あのことを知ってしまって、良かったんだろうか?

 ユキは…。

 本当は…。

 「恋の神様は、恐ろしい。こんな恋も、あったのか…」

 ユキは、ケイと一緒には、プールや海水浴にいこうとしなかった。その理由を、今こそケイは、強く強く、受け止めてあげなければならなかった。

 「ユキちゃん…」

 ケイにも、海水浴やプールにいくことを断らなければならない、ユキの気持ちが、悲しすぎるほどに、理解できてきた。

 だから…。

 「俺は、何てことを、言ってしまったんだろう」

 ユキちゃんは、本当に、良い子だった。

 ああ。

 それなのに…!

 どうして?

 どうして?

 何が、中学生の純粋な心を、こうも、もてあそぶんだ?

 「ユキちゃん?」

 「はい、先輩…」

 「ユキちゃん?」

 「何ですか、先輩?」

 「この前は、ごめん」

 「え、何ですか?」

 「…ごめんよ」





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