第2話 トランスジェンダーの、ゆれ。あの子を、守りたいよ。お父さんお母さんラブラブ主義の今どき男子とは、違うんだ。。

 2人とも、中学の、同じ華道部の部員だった。

 「マナーを重んじる華道部だから、トランスジェンダーのゆれも、感じることはないだろう。つらい思いなんて、しないはず」

 …っていうのは、甘かった。

 「ケイ先輩?今日も、一緒に、部活ができますね。うれしいな。私と花、どっちが、きれいですか?」

 これは、困ったぞ。

 ユキは、積極的な、後輩部員だった。

 「お父さん!」

 「お母さん!」

 「じいじ。ばあば!」

 今どき男子って、そういう感じ。

 けど、ユキは違った。

 ユキは、そういう幼稚な感じでもなかったし、安心できた後輩だ。

 ちな…。

 今どき男子は、大学生になっても、お父さんお母さんラブラブ主義。

 中学生、高校生の女の子は、知らないのかもしれないけれど…。

 今どきの大学生男子の2割くらいが、親と一緒に、お風呂に入る。女の子は、こういう男子たちと、結婚していくことになる。

 男子って、変わっちゃったよね。

 ケイが、中学3年生。

 ユキは、2年生。

 ユキは、積極的だった。

 「ケイ先輩?」

 「…何?」

 先輩として、後輩には、何か、応えてあげなくちゃならないと感じていた。ケイは、真面目で、優しい先輩だったんじゃないか。

 お父さんお母さんラブラブ主義の今どき男子とは、絶対的に、違っていた。

 「ケイ先輩?」

 「どうしたんだ?」

 「私、悩んでいるんです」

 「…え?」

 「お前は、女らしくないよなって、からかわれちゃうんですよね…」

 「そりゃあ、ひどいね」

 「私…、毎日、つぶされそうなんです」

 「…そうか」

 トランスジェンダーとして、悩みを、聞いてあげたかった。

 「でも、聞きすぎて良いのか?」

 先輩として、無意識に、後輩の気持ちを守ろうともしていた。





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