第3話 中学生の、恋って?どんな色で、描かれるんだろう?ユキは、どうして、ケイのことを好きになっちゃったんだろう?

 ユキは、積極的だった。

 ケイのことを好きになった理由まで、口に出してきた。

 「この後輩って、何なんだ?」

 ケイには、不思議だった。

 ユキは、ケイに、感謝したいことがあったという。だから、好きになったと、いうんだろうか?

 「…ケイ先輩?」

 「何?」

 「先輩は、私には、余計なことを言ってきませんでしたよね?」

 「…うん、まあ」

 「それが、うれしくって…」

 余計なことを言わないというのか、そもそも、会話なんてしていなかっただけ。悪くいえば、付き合いが、なかったわけで。

 冷たく、言っちゃえば…。

 ユキのことが、眼中になかったから。

 「この後輩の子は、おしゃべりっぽいな。こういう子って、苦手。声かけずに、放っておけば良いや」

 そう思って、ケイは、ユキに声をかけていなかっただけなのに…。

 その冷たさが、ユキには、親切だなって、受け止められちゃっていたわけか…。良い感じの勘違いも、あるってことだよ。

 「ケイ先輩?」

 「…え?」

 「部活が終わった今、これから、帰るだけですよね?」

 「うん、まあ」

 「一緒に、帰りませんか?」

 「…何、この展開?」

 中学の、放課後。

 知らず知らずのうちに、ユキのペースに、はまっていた。

 「…本当の本当に、何なんだろう。この部に、こんなに積極的な後輩が、いたなんて」

 はじめのころ、無下に断っていたことを、後悔していた。

 はじめは、こんな感じ。

 「ねえ、ケイ先輩?」

 「ごめん」

 「え、何です?」

 「君とは、一緒に、帰れないんだ」

 「どうしてですか?」

 「それは…」

 「どうしてですか?」

 「…ごめん」

 「一緒に、帰るだけですよ?」

 「…ごめん」

 そんなやりとりが、懐かしい。

 思いの色は、変わっていくんだ。





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