第20話 こんな恋も、あるって!コロンバインの花言葉は、こんなものも。「あの人が、気がかり」「あの方が、気がかり」もしも、生まれ変われたなら…。

 中学校の華道部の部室は、もう、閉まってしまった。

 「ただいま」

 ケイは、ユキを見たくても見られない思いで、帰宅した。

 帰宅してから…。

 花を、生けてみた。

 ユキが好きだった花は、コロンバイン。

 オダマキとも、呼ばれる花だ。

 コロンバインの花言葉には、勝利などの他に、こういうものがあった。

 「あの人が、気がかり」

 「あの方が、気がかり」

 いくつも降り積もる思いを込めて、花を生けた。

 性別を偽った先輩を好きになってくれた、好きな後輩にたいしての、せめてもの、思いの伝え方だった。

 ケイの涙が、コロンバインの花びらを、ぬらし続けた。

 「ありがとう…。生まれ変われたら、今度は、思い切り、キサラギメグミの身体と心で生きるよ。そうしたら、一緒に、海にいこうな。さようなら、…ユキオ」


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中学生の恋。トランスジェンダーな2人の、思いがとけたなら~身体と心のアプリって、何?こういう恋があっても、不思議でも、何でもないんだから。 @maetaka @maetaka1998

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