第9話 中学生の恋は、悲しみを走る。「な、何だって?」ついに! いつも一緒のユキちゃんが、海水浴にはいってくれない理由が…。恋って…。

 ユキは、大好きな先輩に、負担をかけたくなかったんだ。

 「先輩?私を、気遣いすぎないでくださいね?私、私のせいで、先輩を、つらい思いにさせたくはないんです…から」

 ユキは、いつだって、優しい子だった。

 ケイは、そんな強い気持ちに気付けずに、何度も何度も、同じことを聞いてしまうだけだった。

 「ユキちゃん?大丈夫なのかい?」

 ユキは、聞かれて、ほほ笑み続けた。

 そのほほえみに、安心してしまうばかりのケイは、子どもすぎた。中学生男子は、発展途上! 

 翌週は、1度も、身体と心の謎アプリに会うことは、なかった。

 「…あれ?今日も、あのアプリが、出ないじゃないか」

 ユキとは、同じ華道部。ユキとは会えるのに、あのアプリに会えないもどかしさが、ケイの心を、締めつけていくだけ。

 「あーあ…イライラ、してきた。この気持ちを、解消したいよ…」

 ユキのことを、考えていた。

 「俺さ。君から、バレンタインデーのチョコレートが、ほしいんだよな」

 気楽に、言えた子だったのに。

 実際に、言ってみた。

 そのとき、ユキは、何も言わなかった。

 「別れちゃうから、なのかな?」

 ケイは、ため息をついていた。

 2人は、学年違い。ケイのほうは、もうすぐ、高校生になる。離れ離れに、なっちゃうわけで…。

 「俺のほうは、もうすぐ、卒業…。寒く、なったなあ。あの暑かった夏が、なつかしいよ。夏、かあ…。どうして、ユキちゃんは、一緒に、海水浴にいくこととか、あんなにも嫌がったんだろう。わからないなあ」

 ユキは、なぜ…?

 「な、何だって?」

 ついに!

 ある日、偶然、その理由がわかった。


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