第13話a
「じゃあ…アンタ……誰?」
「お前も誰?」
今この場を表すとするのならば混沌と勘違いの集合力場によるエントロピーが蔓延して宇宙猫が召喚されているだろうが関係ない。
只、これだけ思った。こいつ、だれ?、と。
「てことは、アンタ違うんじゃ…?!」
「いや、うん。そうなんだけど…、説明が欲しいんだけど。」
たしか、じょうにん?とかって言ってたよな…。
じょうにん?常任?……、常任理事、国連?
「国連??」
「は?」
あ、違うみたいだ。
「そもそもアンタはどんな用事で此処にきたの?」
「…、そっちこそ誰だよ?」
本当に勘違いなのかもしれない。
「あら?男なら先に言いなさいよ。」
「すまないがレディーファーストなんでね。」
前言撤回、こいつは何かを隠してる。
「………、だったら此処に来るときに会長の顔面を踏んだのはなんで?」
…。
「…………、いや、地面に先につくのもレディーファーストなんでね。」なんちゃって……。
「」
するとゆっくりと眼の前で身体を前のめりにして、肩を脱力をする。そしてそのまま小指で支えていた槍を刃とは反対側の方向で至近距離から突いて来た。
さすがにさっきの行動は行き過ぎたと思う。
これに関しては甘んじて受けるとしよう。
だが、正体に関しては問いただす。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
side姉なる者。
暗部組織において情報とは金と同等の組織を動かす潤滑油、血液だと言えるくらいの価値を示す。
故に、情報というのはとても、とても大切な物であり、その分取り扱いがとてもデリケートである。
ましてや、たとえ、何世代前の暗部組織の事だったとしても言えるはずがない。
ならば、もし、自分の可愛いの妹が学校での一番の嫌われ者に言い寄られていて、ましてや一族の秘密の事を聞いてきている。
学校一番の嫌われ者で一番狂ってると言われる高校生。
あと相手はなぜだか知らないがとてもお辞儀をするくらい前のめりである。
「…おま、そこはダメだって……!?男の象徴だぞ!!」
「うっさいバァーカ!!気色悪!変態!」
「この糞女……?!」
何か妹と話してるかも知れないが男のほうがゆっくりと妹に迫っているので妹の貞操の危機というくらいはわかる。
そう、だから、たとえ前のめりになって悶えていたとしても、だ。
よって殺してしまってもいいはずだ。そもそもここでは法律は機能していない。
対象を樹の枝からのって観ていた体が足を少し前に動かすことですっと落ちていく。
手に持つのは一個の園芸用スコップ。
だが、人を一人殺すには充分な凶器だ。
狙うはまるでギロチンで処刑されるかのように出されている首。
刃はついていないがそこは技術とヒトならざる技術でカバーすればいい。
そして、そのままそのスコップは首に水が流れるように入っていき、その首を地面に落とした。
首が落ちる感覚がする。
「姉さん!」
あ…あ、あ!良かった!
「大丈夫?!穢されてない?!大丈夫?!」
視界が落下していく
「あははっパニクり過ぎだよ。姉さん。アイツは………死んだんだね。良かったー」
だが、全て元通りになる。
「ヨカッタネー。」
「うん!良かったよ。百合根が無事でっ…!!」
「うんうん。本当に、泣ける姉妹愛だねぇ…。」
僕の身内は全員死んでるから羨ましいよ。
本当に。
魔術において死者の復活と言うのはとても大きな記号だ。
よくも、悪くも、とても強い神秘性がある。
それは何故か?理由は人が恐れ、怖れ、畏れるからだ。死とは恐怖であり安寧であり忌む物である。それを超えるナニカが人に良くも悪くも多大な影響を与えるのは必然だ。現に彼女らは少しだけ怯えているのが良くわかる。
そして、魔術とは人類の歴史の中で最も旧い技術だ。人類が炎を起こす前に行われた技術、それは祈りだった。
“お腹が空いた”
“寒い”
“疲れた”
“死にたくない”
“生きたい”
そんな、今も尚、世界中に溢れる願いが最古の技術だった。
だから、
「"魔術とは意志に従って変化を起こす科学であり業である。"僕の意思は世界を捻り潰す。だから、僕はそう簡単には死なないよ?」
彼女から問答無用で足蹴りがくる。
仕組みはわからないが靴から刃が出たようだ。何せ、また頭が落下しているのだから。
「ほんと、酷いね。」
それは人が無意識に忌むべき光景だった。かつての神の子が生き返った感動とは違う、生理的嫌悪感。
知っているだろうか?ヒトという生物は生きようとしても体の中には老化と死という概念が重油のようにこびりついているらしい。
だが彼にとってはそんな事どうでもよかったらしい。
彼の心には今の現状を自分の色に染められるか考えていた。
今の自分はなんだ?
あの常識人達、今の世界の方がよかったらしくいらない物が出て来たら徹底的に排除しようとしていた。
そういえば教職員が女性以外いなかったな、、、
どうやらここにはまるで強い絵の具で塗られたかのように自分の色は一切無いようだ。
「…….あんた、どんな奴なのかわからないけど、死んで。」
決めた。
あの
そうすれば、目の前にいる娘達も魔術師らしい行動をしてくれるかもしれないし。
それに邪魔だ。
パレットを持っているのは僕だ。
だから好きな色で描いてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます