第10話a
行きはよいよい帰りは怖いという言葉をご存知だろうか?
文字通りの言葉だが、同級生に対してこのことを想うとは思わなかった。
ああ、本当に恐い。
何より、聞いたあとにそばから離れられるのが、何よりも怖い。
だけど、だけども、一緒に居たい、笑いたい、話したい、飯を食いたい、服も畳んでほしいし、なにより、ダラダラしたい。
相手がどれだけサディスティックだとしても。
「………何故だがわからないですけど、ものすごく殴りたい気持ちになってきました。という訳でさっさと全て吐け。拷問はまだしたことがなかったっ……け?」
「お前はしないよ。そこは大丈夫さ。」
もしやるとしたら、相手の心を揺さぶって弄ぶ方は得意そうだし。
「……とりあえず無性にイライラしているので早くぶっちゃけちゃってください。」
はぁ…仕方無いなぁ〜。
「うちの家はさ、簡単に言えば、その、いわくつきのものが多くてね……その回収と封印をしてるんだけどさ、あ!勿論ちゃんとしてるさ。だけどもし別館に行った時に大変だからさ…ね?凛ちゃん?。」
「最期の言葉でマイナス100よ、さて、死になさい。」
「巫山戯すぎましたすみません。」
どうやら此れだけ信頼しててもちゃん付けは駄目らしい。
あれからダンジョン攻略を物理的にしたあと必要なものを探した。
1時間かけて目の前に集めた物がたくさんある。
発電機はもちろん食料から生活必需品、工具やおもちゃまでもがある。
もちろん発電機ソーラーパネル式だ。
「そろそろいいんじゃないかな、大体集まったことだし…。」
「いいんじゃないの?それよりも私には分からないけどこっちの方が重要なんでしょ?」
探索しているうちに見つけたのは目の前にある一つの死体。
そして重要視しているのはその死体が着ている服。いや、礼装だ。
「つまり、あなた以外の魔術師がここら辺りにいるということね。」
「世界のどこかにいるというのは分かってはいたさ。だけどここまで近かったとは…。」
マジで予想外だわ。
「とりあえず凛は周りを見といてくれ。こっちは死体の解析をするから。」
わかったわ、といったのですぐさま解析を始める。
その後何事もなく家に帰り結界を確かめたり発電機を取り付けたり(魔術であーやこーやした)などしながらぐだぐだやってたらいつのまにか日が落ち空の幕が閉じていた。
あの例の礼装を着ていた謎の男も確証が持てないということで後回しにしたと彼女にはつたえたし…。
あとなにか…あったっけ?
そんなメモをろくに付けない男の一日は爆睡によって次の日を迎えた。
そして、次の日。
「あ、やっべー忘れてたわ!」
おいおい忘れてたよ…。
あ、おい、凛よ、なぜそんな頭を抱えてるのだ?
すまんが私には自覚がないのでね、だから物投げるのやめてもらえませんかね?!
「つまり、ダラダラしたくて仕方ないからパシリを増やそうとしてたけど、増やすのを忘れてた、ってこと?」
「傍から見たらクソだわな、それ。」
「そうねクソ野郎。」
まぁ、あのヤバそうな爺さんを傭兵として手に入れられることは自分の中では最高なのだが………。
恐らく、あの爺さん、一筋縄ではいかないな。
まぁ、腹の探り合いは恐らく同等クラス。
これでも一応訳あり顧客のクレーマー対応をしてやってきた。
自信はある。だが、気を抜かないようにしないと。
ましてやあの礼装を着た男のことも大体はわかっているが、あの礼装の製作者の真意もわからない。
さて、情報収集を再開するか。
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