第18話a
夜の学校。
普段なら誰もいない聖域だが、今となっては火を焚いてあちこちに見張りなどがいる。
いや、いた。
今そこに居るのは、元々、人だった物と黒ずんだ未練だけ。
そこに佇んでいる黒いコートを着た青年が一人。右腕に拳銃を、左腕に拳大くらいの大きさのルビーを持って青々と燃える校庭の中を悠々と歩いていた。
校舎には息を潜めて死にたくないと思っている人がたくさんいる。
突然のことだった。どこからともなく青年の背後から黒い渦が現れ、そこからの攻撃で人がゴムボールのように飛んで行ったのが始まりだった。
学校の生徒はもちろん、避難所にいた人々でさえ知っていた。
あの、周りから殺されそうになっていた青年だと。
事が始まった時は何事かとみんな騒いだが、生徒会長曰く、ここの資源を奪いに来たのだという。
嘘か本当かすらわからない。だが、彼は意味も無く悪者になってしまった。
なら、今度は自分からなってやることにしたのだ。
「守るべきものが増えたんだ。」
生徒会長と呼ばれていた骸に声をかける。
「すまない。一撃で殺してやれなくて。」
460ウェザビー・マグナム。
ゾウを殺せる火力を持つ弾丸で人に打つ物じゃない。
だが、ステータスの影響で貫通する事すらできないのだ。そのため、彼らは死ぬにしてもとても時間が掛かった。
「最初から手加減なしでやっとけばよかったと後悔しているよ。」
(綾瀬たちに少し外に出ると伝えてから2時間。後で怒られてしまう…!?)
元々海外での仕事で貰った物だ。密猟者が森の封印を誤って解いた時の仕事で偶々出会した密猟者達を殺した時にゲットしたものだ。よくよく考えると貰い物じゃねぇわこれ。
「それじゃあ他の奴らもどうにかしないと。じゃあな会長さん」
その声に校舎の中に身を潜めていた影たちが震えるのがわかる。
「やらなくちゃ、いけないのか。」
校舎の周りに結界を構築する。何かに気づいた数名は声を出して言う。
「なんで?!手を出してなんかいないのに」
「殺さないでください!何でもしますから!」
「おい!金ならやる。だから出せ!」
「子供は!せめて子供だけでも!」
「ねぇママぁ〜どうしたの?」
声がたくさん聞こえるが、残念な事に僕は聖徳太子じゃないんだ。ごめんよ?
(せめて、二百人も居なければなぁ)
そんなことを思いながら軽く詠唱し、結界の中と外の時間の流れを大幅に変えた。
中にいる人たちが出る時にはもう外では違う光景が見える事だろう。彼らのことを忘れて。
彼らの記憶を一部消す事にした。
本来、簡易的な一部の記憶削除なら簡単な暗示なのでいけるが、今回は二百人越え。一気にするには難しい。例えるならヌクレオチドが並んだDNAを素手でゲノム編集するみたいな難しさだと考えたら良いだろう。
「
ついでに、彼らの管理していたダンジョンを片手間で殺し尽くしている間に消し飛ばしといた。そのおかげで自分家の周りやここら一体には、ほとんどモンスターが出なくなるだろう。
面倒な仕事は終わった。
記憶編纂術式も結界に書いておいた。明日には結界も解け、ゴーレムも壊れている事だろう。
欲しいものも手に入り、少しは休むことができる。
そう思いながら帰路に着く無常だった。
尚、帰宅後、玄関で晩飯が冷めたことに怒る綾瀬とそれを綾瀬の背中から揶揄う如月姉妹を見ることになることは、今の彼は知らない。
〜魔術師の生き方〜曰く付きの同級生メイドと一緒に終末世界で生きたいと思います! 木原 無二 @bomb444
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