帰ってきたアイツは嫌われ者
第12話a
「せめてもの情けとして、遺言くらいなら聞きましょう。」
その黒髪は月を借景し、其の脳裏を色褪せていた。
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学校への登校。
朝、電車に揺られながら登校する人もいるし、歩いて登校する人もいるだろう。
別に登校したら、お前の席、ねぇから!!など、居場所を否定されるようなことなんて現実じゃ言われないはずだ。
「お前はこの学校に存在してはならない!」
存在そのものを否定された。
校門から、いや、その背後にある校舎の窓からの悪意がすごい。
別に嫌われるようなことなんてした覚えはあるかもしれないが、そこまでだろう。
多分だけど。
「今すぐここから消えろ!貴様、なにをしたか分かっているのか!」
まぁ、だからといって黙ってないけど。
「少しばかり酷すぎないかね?そこまでの何かをした覚えはないんだけど…!」
足元にチョークがまるで釘を銃弾で撃ち込むように突き刺さる。
突き刺さる地面に亀裂が走り、その威力を物語っていた。
「………………忘れ物を取りに来た。ただ、それだけだ。」
「…、帰れ。」
交渉は決裂か………。
「ならば、押し切るまでだな!」
待ち構えてた門番達の隙間を掻い潜り、鉄鎖と机で出来た校門のバリケードの上を跳躍し、乗り越え死角にいる待ち伏せていた生徒の顔面を踏み台にしてそのまま着地地点にいた女の子の髪の毛を大事に触る。
「ごめんね〜顔、足場にしちゃって。なんか今度助けてあげるよ。」
おっと、周りからの殺意が凄いな。
てかこれ、なんかのスキルの影響が有るんじゃないの?
『鬼ごっこしようぜ!ルールは簡単!30分以内に君達が僕を捕まえる事が出来たら君達の勝ち、僕が30分以内に目的を達成したら僕の勝ちだ!ゲームスター「いや、ちがう」…ん?』
「俺たちがお前を殺したら勝ち、だ。」
「面白い事言うようになったな、クソガキ。」
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上半身を軽く落とし廊下を駆ける。
後ろからカッターが風切り音とともに頬にかする。
「ゴメンて!なんかよくわかんないけど、ゴメンて!」
即落ち2コマだった。
めちゃくちゃカッコつけて「面白い事言うようになったな、クソガキ」とかって言ったのに。
「お前ら!会長の足に泥を塗りやがったアイツを絶対に殺せ!」
応!!!!!!
背後からまるで神霊が降りたかのような気配がする。
もうステータス嫌いだわ!!
ていうか生徒会長あの人だっけ………?
「つかお前が会長って言うな。ヤクザかなんかか、っ!!」
窓からまるで龍の型になった雷が窓の硝子を突き破って突撃してくる。
(おいおい、さっきの神霊の雰囲気って本気のやつなのか?!アリなのかよ、それ!)
とりあえず左側から右側に移動しながら分散型防御結界を張る。
これまでの間、僅か0.0011秒。
魔術師ならばこれくらいが普通になってくる。
なにせ速ければ速いほど繰り出せる手札が増えるのだから。
ちなみに本当の殺し合いならばもっと速い。
突然、右側の教室の扉を貫通して一つの槍が無常の額を傷つける。
咄嗟に気付き上半身を後ろにさげたが気付かなければ前頭葉を貫通していただろう。
だが、
「見つけた。」
そのまま全体重を右に傾け槍を避けながらタックルをし扉を破壊する。
その時、偶然か、それとも必然かわからないが後ろの雷の残留がドアからの粉状の破片が反応し軽い粉塵爆発を引き起こした。
だが、この状況はとても都合が良かった。
後ろとは一度離れ、目の前には目的の対象がいる。
「少しやる気出すけど……いい?」
先手必勝、先に動き出し身体をできるだけ前のめりになるようにし素早く相手の真横に高速で行く。
魔力で足がショートするくらい速いせいなのかソニックブームで教室の机や椅子が空に舞う。
その勢いで窓と教室の壁をぶち破り左腕で抱くようにしながら学校の裏山にまで飛ぶ。
「ヒッ!!」
ん?もしかしてジェットコースターとか苦手なのかな?
ちょっとだけ悪い事したかも知れないね。
「3.7.12.其れは賢人の支えなり」
着地後、自分たちを囲うようにモンスターから隠れるため落下地点の木々を操りちょっとしたドームを作る。
少し時間がたって落ち着いてきた女の子を地面に降ろした。
「初めまして、かな?先輩。僕の名前は無常塔也。早速だけど僕の『目』をご存知かな?」
「………………あれだけ堂々と観ていたらそりゃ気付くわよ…何より覗き見されて嬉しくは思わないわ。」
まぁ、覗き見されてるわけだしね……。
「それで?100年も経っている私達を呼んで何をしようというの?まさか、この現状を作り出したのはアンタ達じゃ……。」
「100年?何のことだ?」
「え、だって上忍であるアンタ達が…。」
「上忍?」
「え?」
「え?」
え???
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