第2話a

「ハァハァ…ん」

真夜中の街の中を肩で躍らせ、家に着いた。


すぐにパソコンを立ち上げ、情報収集をする。

他にも『たつつい』(つぶやくヤツ)や、『よつべつ』(動画いっぱいあるやつ)などもみていく。


探した結果ニュースにはなっていなかったがたつついの方で日本人の人間が「街中で半裸の猿を見つけた?!」という投稿があった。


もちろん誰にも相手されていないが。


というか、何処の変態かもしれないが。


いや、そもそも猿は全裸だった。


この件に関して推測できる点は二つ、

一つ目は他の魔術師が行動を行った。しかし動機が不明。

二つ目は自分が知らない現象が起こっている。


ぶっちゃけた話どちらも半々でありうる。


一つ目の方は生きた人間を素体にして『ゴブリンは妖精ではなく、変異種である人間である』と再定義し日本の昔の勘違いの一つ、『外国人を鬼と間違える現象』として解釈すればいけなくはない。


成功するかどうかは分からないが。


二つ目の方は……ただなんかそうであったほうが面白そうだから。


だって、自分の知らない現象が目の前でおこってんだぜ?魔術師の血が滾るってもんよ!!

って言うか2つ目だとB級映画臭いなと思った。


心を落ち着かせるために深呼吸をすると少しだけ気分が落ち着いた。

やはり自分の中では先程起こったことは処理しきれていないのかも知れない。

とりあえず、出かける前に礼装だけ取っていこう。


家の中の倉庫にある礼装を探しにいく。

ぶっちゃけ、小さい頃からたくさん作ってきたので腐るほどある。


もしものための戦闘用としていくつか身につけておこう。


外では食料や日用品、家具なども手に入れないとな。


もちろんゲームや本、アニメ!!!


もしかしたら文明が崩壊しちゃって娯楽がなくなってしまうかもしれないしね?


あと、たくさんの礼装が置いてある倉庫を中に足を踏み入れ必要な物を持っていく。

杖、短剣、ペンタクルの刻まれた円盤、コイン、杯、折り紙、香辛料、

香水、動物の血、ルーン文字が刻まれた石……などたくさんの礼装を持っていく。

一応念のために、ボトムスシリーズも持って行くか。


ボトムスシリーズとは、簡単に言えば礼装の中で、最高傑作と言っても過言ではない作品のことを指している。

まあ自分の中での最高傑作だが。

自分の影の中(寝たら影に入れた物が勝手に出てくるので、常に入れて持ち歩くことは日常生活で不可能)にボトムスシリーズの一つ『アロンの杖』をいれ、倉庫を飛び出した。

とりあえず今の目標はスーパーやコンビニなどに行って食料などを買い付けること。

ついでにコンビニで食えなかったチキンたちの分もな!!!

あと、買い物をしていく途中でうちのメイドも拾っておこう。


俺は家事が壊滅的なためにメイドを雇っている。

独り身なのでなんとか直そうとしているが

洗濯機は吹き飛び、

風呂場は軽くマグマ状態、

炊飯器に至っては爆発する始末だ。


そう、だからこれは仕方ないのだ。

たとえ、その為だけに同級生を雇っていたとしても。


たとえ、その同級生がツン9割(もしかしたら観測してない、あるかもしれない1割のデレ)だから、そのデレを観たいがために雇ったとしても!


たとえ、その同級生にメイド服に、カーターベルトを着けさせていたとしても!!


何の問題もない!…はずだ。


というわけで今から自転車をこいでそいつの家まで行きます。


ガーターベルトつけてメイド服着ている可愛い女の子を背中に乗せたみたい、唯それだけなのだが。だが!!!

と頭の中で誰かに言い訳をしながら勇み足で自転車を漕いでいった。

それから30分後、無理やり拉致されて、「この、クソ野郎っ!帰れ!離せぇ!労基に訴えるぞ!」と大きな声で言っているメイド服着た女の子がいたらしい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る