第15話a


「君たち、俺と協力しない?」




今さっきまで殺しあったやつに言うことではない言葉ランキング第一位が彼女達の耳に入る。




「…..頭沸いてんの?」




「黙れシスコン」




2回目のゴングがなろうとしていたところを百合根に止められた。




「さっき僕と間違ってあの子、殺したでしょ。」


「!」


二人の顔はバツが悪いようになる。やっぱ少しは罪の意識はあったらしい。俺を殺したことにも少しは意識を持って欲しかった。




「もし仮に僕が殺したと彼らに思われて、この場所を逃れたとしても、君たち、彼らがあんまり好きじゃないでしょ。」




「…嫌いなあんたよりはマシだけどね。」


おっと、妹の方も強く頷いている。




「ステータスそのものに問題があるとしたら?」




「….その証拠は?」




ほとんどないものに等しい、だが


「逆に問題がない証拠はあるのか?」


これは悪魔の証明だ。


ないものをないと証明するのはとても難しい




「お前ら姉妹は忍者なんだろ?そんな得体のしれないものを武器にするのか?」




「…….」




ここが勝負どころだ。


「そもそも君の妹に手を出したのは全然邪な理由なんて無かった。僕と同類の人を知りたっかたんだ。」




「同類….?」




「これ、見えるだろう?」


手元に式神を出す


「それって、私が消した、、、」




「これ、見えるってことは多分だけどなんらかしらの魔眼、持っているでしょ?」




通常、魔術における物は一般人に見えるものと見えないものがある。もし、どちらも見えるとしたら魔力を開花した人、つまり一般人じゃない人だ。


だが、今の世界は殺したら力が手に入る世界。つまり一般人にも見えてしまう。




「そのためにわざわざ見えないように工夫したんだけど、君には見えちゃったんだよね。だから会いにきた。」




「あんた、一体、」




「私の名前は無常塔也、魔術師だ。まぁ忍者の方が驚いたけど。」




「「いや、魔術師の方が驚くわ?!」」




そんな寸劇をしているところに複数の観客が来た。




「あ…….」


一人の女の子が声を挙げる。




声にならない悲鳴を挙げる彼らの前には見るも無惨な、顔の知っている同級生がいた。


「…..ひどい…..」




それ以上の声は出せないと言わんばかりか嘔吐する子までいる。




「無常…いや、そこの二人。その手に持っているものは何だ?」




条件反射で思わず手を隠してしまう。


それが、彼らにとっての犯人を決める都合の良い判断材料となってしまった。




「お前ら正気か!?こんなに….」




「彼がなにやったって言うのよ!?別にあんたらに….」




そんな声が、怒声が濁流の様に彼女らの良心に迫る。




無常が、如月姉妹が彼らのことが嫌いだったのは単純明快、イカれてなかったからだ。


彼らの批評は元に正しかった。だが、もしここが法廷なら弁護士による殺人の否定性、仕方の無さが弁論されていたことだろう。だが、ここにいるのは残念な人間ばかりであった。


例え、もしもこの場で無常が犯人として批判されていたとしても、彼女らは彼らを侮蔑した目で見ることは恐らく変わらないだろう。




「お前らは殺さない。」




無常を含む三人に声が掛かる。

あの校門で話した男だった。



「お前達は、一生、償っていかなければならない!!!!!だからここでみんなの為に働け!!それが、今のお前達にできる償いなのだから!!!!」






そんな彼らを侮蔑の眼で見る化け物達は全く躊躇しない様子でこう言った。




「「「黙れカス」」」




今日何度目かのゴングが鳴った。


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