幕末の京を舞台に、新選組隊士・藤堂平助の恋と苦悩を描いた物語です。
島原の遊女・名都と出会い、立場や運命に翻弄されながらも惹かれていく平助。
しかし歴史の荒波に揉まれる新選組隊士としての彼の苦悩は、止まることを知らず……。
この作品は、戦乱の中でも人を思いやる平助の姿と、彼が直面する厳しい仕事や責任、それによる恋の葛藤を鮮烈に描きだしています。
また細やかな情景描写により、幕末の空気感が見事に表現されているのもこの作品の魅力です。
立てられた茶の香りや、焼き餅の匂いまで漂ってくるようです。
大切な人たちを守るため、自己犠牲を重ねる平助さんの恋路にきっと心を動かされるでしょう。
幕末の恋の物語、ぜひ皆様お読みくださいませ!
おススメです!
敗者の歴史は、勝者によって捻じ曲げられ、隠ぺいされる。
後世にその歴史に光を当てる者が現れるまでは。
新選組の歴史は、既に多くの大作家によって光を当てられているが、やはり土方や沖田のような著名な人物に目が向けられているのは否めない。
そんな中で作者は、藤堂平助という歴史の脇役といえる人物に傾倒し、光を当てている。
藤堂はおそらく、幕末という動乱の時代に生きた、普通の人々の代表なのではないかと思われる。
その普通の男が、歴史の激流の中で否応なく変わっていく姿を、作者は自身の憧憬を込めて描いているのではないだろうか。
そして敗者の側に立った普通の男にも、人間としての生き様があり、若者ゆえの悩みもあり、そしてこの作品のテーマの一つでもある淡い恋もある。
それを思うと、敗者の歴史こそ美しいというパラドックスについて、考えざるを得なくなる。
小難しい屁理屈を並べてしまったが、まずは作品を楽しもう。
新撰組、藤堂平助。江戸から募られて、京で結成された新撰組の、初期からの幹部として知られる男ですが、その激しく流転する運命の中で、彼が何を想い、どう剣を振るって来たのか――。
また、美男として知られた平助が、いかなる恋模様を広げていたのか。
そして、時代に翻弄される新撰組の中で、どのようにその新撰組をより良くしようとしてきたのか。
それに対するひとつの想像として、あるいは、もうこれが本当なんじゃないかと思うくらい、真実味のある藤堂平助がここにいます。
……特に恋模様はやきもきさせられます^^;
この物語のはじまりである、雨。
その雨の中で出会った女性への想いは、読者としても、早く遂げて欲しいものだと思いますが……これ以上は、この物語をご覧くださいとしか言えません^^;
ぜひ、ご一読を。
主軸は主人公の藤堂平助と彼が愛する女性との物語ですが、新選組の隊士たちを中心に周囲の人々やその人間模様も鮮やかかつ豊富に描かれており、色々な要素から目が離せません。
自分は新選組といえば数名の有名隊士の名前しか知らない状態で読み始めましたが、小説中でそれぞれの登場人物について丁寧に紹介、描写されているため、前知識なしでも読むことができます。ひとつの時代もののドラマとして、大変楽しませていただいています。
現時点での個人的な推しは作者様のオリジナルキャラクターだという名都さん、どこまでも良い女の君尾さん、腹黒紳士の伊東先生、絶妙なバランス感のある一匹狼斎藤です。新田さんや三浦さんや原田さんなど、他にも好きになったキャラクターがたくさんいます。
主人公の平助さんも、真面目であり凄腕の剣客でありながら脆さというか危うさがあり、彼の幸福な結末を願わずにはいられません。(時代ものなので難しいかもしれませんが…)
また本作は、文面を拝読していて目に浮かぶ情景の美しさと豊かさ、それに絡む心理描写の妙が見事です。真似したいですができません…!
この先平助さんの恋が、生き方が、新選組の行方が、どうなっていくのかとても気になっていますm(_ _)m
本作は新選組の八番隊組長である藤堂平助を中心に据えた物語です。
ちなみに、このレビューを書いているぼく自身は、藤堂平助はもちろん新選組のことも幕末についても、まったく詳しくありません。なので、読みはじめる直前まで、この作品の読者になれるのかなあ……と不安でした。しかし読みはじめてすぐに、それがまったくの杞憂だったとわかりました。
本作は、ぼくのような藤堂平助や新選組についてまったく詳しくない者であったとしても、ちゃんと楽しめるように書かれているからです。
しかもこの作品、タイトルに『恋物語』と記してあるように、恋愛小説としても楽しめます!
登場人物たちの切ない恋心の揺れ動きが丁寧かつ、ときには大胆に描かれている。さらには恋愛だけでなく、人間ドラマとしての出来映えもお見事!
ぼくがこのレビューを書いている時点で、本作はまだ未完です。これからどんなふうに物語が展開していくのか、とても楽しみにです!
『月の夜 雨の朝 新選組藤堂平助恋物語』、おすすめです!!
八番隊どころか新選組のことをほとんど何も知らなかった者です。
八番隊長の藤堂平助は美形の若侍です。
(歴史的事実ですが私は全く知りませんでした。)
優しく真面目な平助がその性格ゆえに鬼のように人を斬るようになってゆく。
でも心根は優しく真面目な若侍のままなんです。
内面と役割のギャップを抱えた平助の葛藤、島原の遊女・名都との恋が
美しく語られます。
切ない、かっこいい、切ない……。
かっこいい!
私の心の叫びです。
藤堂平助を知らない方
新選組を知らない方
美形という言葉に反応する方には特に、でも、
切なさとかっこよさを欲している方々!
みなさまに心からおすすめします。
『魁先生』とも呼ばれた若き剣士、藤堂平助を描いた一作。
ご存じ、新選組の物語ですが藤堂平助をメインに書いているのは珍しいのではないでしょうか。
本作の藤堂は実直で優しい青年剣士として描かれています。
その優しさ故か、人を斬る生活や隊内の権力争いに辟易し、苦悩する姿が鮮烈で印象的です。
恋する相手にも人斬りとしての自身に負い目を感じ、素直に接することができない。
強い剣士でありながら、一人の青年としての藤堂平助を見事に書いています。
藤堂平助以外のお馴染みの人物も魅力的に描かれており、人物の造詣が巧みです。
土方や沖田、永倉など、読者ごとに推しができると思います。
若き藤堂を主軸に二人の女性が登場しますが、その二人の間で揺れる藤堂の心が切ないです。
女性たちが藤堂を思う気持ちも丁寧かつ抒情的に表現され、読んでいると心打たれます。
幕末を駆けた藤堂平助の姿、ぜひご覧になって頂きたい一作です!