新選組を題材とした本格歴史小説

 本作は新選組八番隊隊長 藤堂平助を柱として語られる。

 心優しき平助を鬼へと変えたのはまさに幕末の乱世。
 信じた近藤や土方に従い刀を血に染める平助の心の機微が丁寧に丁寧に語られる。

 見どころの一つ『名都との恋』はときに歯がゆく時に優しく読者をも翻弄する。

 膨大な知識、徹底した取材による史実に裏打ちされたストーリーは骨太で、物語の世界に引きずり込まれる。

ぜひ読んでほしい一作です。

その他のおすすめレビュー

仁科佐和子さんの他のおすすめレビュー686