異世界物、面白いですよね。私も大好きです!
面白いからと、ついつい色々な作品に手を伸ばし、あっという間にブクマだらけ。そして話が混ざるw
これはイカン!
と、偶然(必然?)出逢えたのが、この小説。
実に面白い。
刻は幕末、名は藤堂。
知る人ぞ知る、泣く子も黙る新撰組の八番隊組長、藤堂平助宜虎が主人公。
その恋のお相手は、純潔など、家族のためにとうに売り捨てた芸妓の名都。
この二人の恋の行方、どうなるか?
wikiなど見ずに、楽しんでおりますw
さて、
『新撰組』といえば、当時は『壬生狼(みぶろ)』どころか『身ぼろ』とまで蔑まれた嫌われ者集団。
現代に生きる皆々様の中にも、ひょっとしたら嫌っていらっしゃるかたもいるかもしれません。
だが、待って欲しい。
この新撰組、視点を変えれば--
『京の都を火の海にした隙に、帝を拉致しようとしたテロリストの野望を未然に防いだ正義の味方』
なのです。
歴史に詳しいかたならば、そんなことは先刻承知のことでしょうが、
もし、
何らかの理由で歴史に苦手意識を持ち、そのような情報に触れる機会に恵まれなかったかたがいらっしゃるのなら……
それこそ天啓。
是非に読んでいただきたい。
きっと、あなたの世界も拡がる筈!
カクヨムではマイナージャンルと思われる歴史・時代物ですが、本作はまちがいなく力作です☆
舞台は幕末の京都。
新選組の名前を知らない方は少ないと思いますが、近藤、土方、沖田の存在感が偉大で、とりわけ沖田総司は美青年とされ、労咳(結核)で夭折するという儚さから人気を博していると思っております。
しかしながら、本作の主人公は藤堂平助。もちろん新選組では幹部の1人でありますが、知名度としては前述の3人には劣るでしょう。(正直私も名前くらいしか記憶にありませんでした。)敢えて、彼にスポットを当て、壬生狼と嫌悪されながらも、京の治安を護るという使命感を抱き、危険な任務の最前線で戦う勇姿が、ありありと描かれています。
ただ、そんな藤堂も、心を癒やす拠り所として、京の芸妓と恋をします。藤堂は好色家ではないのですが、武士として端正な顔立ち、やや無骨ながら誠実な性格で、芸妓が藤堂のことを惚れてしまうのです。
しかし真面目な性格、新選組の武士としての矜持が、恋を邪魔して、読者は良い意味でやきもきさせられます。そんな藤堂や芸妓たちの気持ちのすれ違いが、丁寧に描かれています。
もちろん、芹沢鴨の暗殺や池田屋事件など、史実に沿った事件もあり、幕末史好きにはたまらないでしょう。
今後の藤堂の行方、恋の行方から目が離せません。
(「新章 2章 新しい日々」読了時点のレビュー)