波瀾万丈な新選組藤堂平助の武士道と恋の行方に酔いしれる

カクヨムではマイナージャンルと思われる歴史・時代物ですが、本作はまちがいなく力作です☆

舞台は幕末の京都。
新選組の名前を知らない方は少ないと思いますが、近藤、土方、沖田の存在感が偉大で、とりわけ沖田総司は美青年とされ、労咳(結核)で夭折するという儚さから人気を博していると思っております。

しかしながら、本作の主人公は藤堂平助。もちろん新選組では幹部の1人でありますが、知名度としては前述の3人には劣るでしょう。(正直私も名前くらいしか記憶にありませんでした。)敢えて、彼にスポットを当て、壬生狼と嫌悪されながらも、京の治安を護るという使命感を抱き、危険な任務の最前線で戦う勇姿が、ありありと描かれています。

ただ、そんな藤堂も、心を癒やす拠り所として、京の芸妓と恋をします。藤堂は好色家ではないのですが、武士として端正な顔立ち、やや無骨ながら誠実な性格で、芸妓が藤堂のことを惚れてしまうのです。

しかし真面目な性格、新選組の武士としての矜持が、恋を邪魔して、読者は良い意味でやきもきさせられます。そんな藤堂や芸妓たちの気持ちのすれ違いが、丁寧に描かれています。

もちろん、芹沢鴨の暗殺や池田屋事件など、史実に沿った事件もあり、幕末史好きにはたまらないでしょう。

今後の藤堂の行方、恋の行方から目が離せません。

(「新章 2章 新しい日々」読了時点のレビュー)

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