人の死を乗り越えて成長する少年の物語

一言でこの小説を表現するとすれば、上記のひとこと紹介となると思うのですが、ストーリーは単純でなく、計り知れないほどの恐怖や不条理を感じながら、少年が成長する物語のように思います。

事の発端はエケコ人形。この耳慣れない人形は、南米のエクアドルの家族旅行の際に買ったものなのですが、帰国後ある日突然、家族に悲劇が訪れます。

何不自由なく都会で裕福な家庭に育った少年が、突如家族を失い、住み慣れた家、通い慣れた学校を離れ、右も左も分からない田舎で祖母と暮らすことになって……。

この急展開ぶりが、読者の想像を上回るほどの恐怖と悲しみを植え付けます。

なぜ、こんなことが起こるのか、と悩む少年を嘲笑うかのように、次々に襲う悲劇の中でも腐らずに、頼れる人物を頼りながら、解決の道を切り開く姿は、ホラー小説ながら、少年の成長を感じさせるヒューマンドラマにも感じました。

作者様が得意とする民俗学に、本作は海外のエッセンスも混ぜ込まれて、深みを感じさせる物語。
ご一読くださいませ☆

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