ジーク視点 犯人の推測
馬車で帰る途中に、彼女が学園であった出来事を思い出す。
妹のシシリーが狙われているようだが、それに彼女も巻き込まれているようだった。シシリーたちが三年になってから、執拗に狙われるようになったらしい。
されていることは稚拙なものだったが、危険なことだった。
初めは、シシリーが階段から突き落とされたのを彼女が庇い、下敷きになることがあった。確かに、シシリーは俺の大切な妹だ。助けてくれた事には感謝している。けれども、彼女も自分を大切にして欲しい。彼女が怪我をしたと聞いた時は心臓が止まるかと思った。
すぐに、フォード家に連絡を取り、彼女を家に来させた。彼女にはもっと自分を大切にしてもらいたい。
今、ベッドに座らせている彼女を前に家族みんなで囲んでいる。シシリーは階段を突き落とされたことよりも、彼女を怪我させたことを気にかけているのか、ずっと泣き続けている。
彼女はこの状況に納得していないのか、いや、あの時、犯人の顔を見ることができていないことを気にしているようだが、そうではない。
「アリシア嬢、シシリーを助けてくれた事には感謝している。けれども、君も女の子なんだから、あまり危ないことはしないように」
「アリシアさん、娘を庇っていただきありがとうございます。けれども、あなたはもっと自分を大切にしなさい。私たちに恩を感じているのかもしれませんが、あなたも大事な家族なのですよ」
「…心配した。もうこんな危険な真似はしないでほしい」
「ぐすっ、申し訳ありません、シアお姉様」
その1週間後、会う日ではなかったのだが、二人一緒に家に来た。それもびしょびしょの姿で。メイドたちが慌ててお風呂の用意をし、すぐに拭けるものを渡す。
二人がお風呂から上がった後に、前回同様に彼女を囲む。話を聞く限り、今回も巻き込まれたらしい。一体、我が妹は何に狙われているのだろうか?
「それにしても、シシリーさ…シシリーに嫌がらせをするのは誰なんでしょうか?私を池に突き落とした方は、逃げる時にガチャガチャと音がなっていたので、騎士様が?そんなことをするでしょうか?」
彼女の言葉をみんなで考える。彼女のいう通り騎士がということはないだろう。あくまでも彼女が通っているのは学園であり、騎士は鎧などは来ていない。それは貴族の子息も同じだ。そんな日常的に鎧を身につけるような物好きは…
一人心当たりがいた。騎士ではない、俺が思う、もっとも愚か者に売った。使い古された鎧の足の部分を磨いて、「あなた様にしか似合うものはいません」と言えば、新品の鎧一式が買える金額で、足具だけ買った奴がいた。
まさか、王族自ら手を出しているとはな。
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