【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡（？）な私を巻き込まないでください！

9.怒ったら、言葉遣いが荒くなってしまいます

　私は今、叔父を相手した以上に怒っています。それは、あのバカの発言のせいです。

「そのアイリスが何か犯罪を犯したから、代わりにお前が婚約者なのだろう？それを嫉妬でこんなことをするとは、つくづくフォード家は愚かなものだな」

　扇を持っている手に力が入ります。扇はピシピシと音を立てていますが、気にしてはいられません。私の家族を侮辱されたのです。我慢してなどいられません。

「お言葉ですが、殿下。その空っぽな頭で理解できるとは到底思えませんが、話させていただきます」

「なっ貴様、無礼だぞ！」

　無礼という言葉を知っていたのですか。すごいですねー

「まず、第一に、あなたの婚約者が私の従姉妹だったとして、それが私に変わることは一生ありません。名前すら呼ばないでください。穢らわしい」

「きっ「次に、私には婚約者様がすでにいらっしゃいます。あなたなんか比べ物にならない素敵な方です。それに、その方はシシリー様のお兄様です。シシリー様は将来の義妹に当たります。そのような方をいじめる理由がないのです。そのない頭で理解してください。理解できなくても喋らないでください」

　もう、しゃべらないでほしい。声すらも聞きたくないし、目の前にすらいてほしくない。

「お前に婚約者がいるとは聞いてないぞ！浮気をしていたということか！」

　ほんと、どう考えれば、こういう発言ができるのでしょうか、意味がわかりません。

「あなたにだけはそんなことを言われたくはありません。まず、私の婚約は10年前に王家に報告しているので、あなたも知っているはずです。知らないということは別に知らされるような重要な人物ではないということです。それに、浮気だというなら、あなたに言われたくはありません。一応あなたの中では、私が婚約者ののでしょう？それなのに、シシリー様に言い寄っているのですから。それにシシリー様には婚約者がいらっしゃります。知っていましたか？知っていたのなら、それにも関わらず、シシリー様と付き合おうとしていらっしゃるのですか？本当に愚かですね」

「俺は王族だぞ！女は何人でもいいことを知らないのか！父上だって、二人娶っている。そんな中にお前も入れてやったことを感謝するべきなのだ！それに、女に婚約者がいようとも、王族が望んでいるのだ。喜んで、俺の元に来るべきだろう！ーー」

　勝手なことを言い始めました。ひどく迷惑な話です。あなたに何を感謝することがあるのでしょうか？ただの害悪じゃないですか。リリア様がご結婚された理由を陛下の一存だと思っているのでしょうか。それに、婚約者を王族のために捨てろと、それを本気で言っているのなら、正気とは思えません。

　この中にお医者様はいらしゃいませんかー。

「ーーそれに勝手だと、シシリーは俺のことを好いているに決まっている。なあ、シシリー」

「勝手に私の名前を呼ばないでください。殿下のことはなんとも思ってないです。私には婚約者である彼がいます。勝手に勘違いするのは迷惑なので、黙っていてください」

　シシリー様が強い口調で殿下を拒絶します。わかってはいましたが、やっぱり、バカ王子の勘違いだったそうです。ですが、シシリー様があんな言葉をお使いになるなんて、余程迷惑だったのでしょう。

「なっ、お前はいつも俺のところにお菓子を持ってきていただろう！あれは、俺に会いに来ていたのではないのか！」

「それは、私の婚約者にあげているものです。あなたにあげていたわけではありません」

　シシリー様にこっぴどく振られている残念王子は、ひどく惨めです。ざまぁ。