8.第一王子の中身のない話

「私から、殿下に…ですか?経緯を教えていただけますか?殿下と婚約するには、私の爵位は足りていないと思うのですが?」

「まだ、そんなふざけたことを言っているのか。まあいい、俺は寛容だからな。特別に話してやろう。あれは10年前のことだーー」


 10年前と言えば、お父様とお母様が叔父に殺され、スラムに捨てられ、ジーク様と婚約者になった年であり、忘れることはできない年だ。それなら、絶対にお前との婚約はしていないと言い切れる。


 会話の中に、いちいち、かっこいい俺とか、偉大な俺とか、優秀な俺とか、どう客観視すれば、そんなにお前を讃えることができるのかわからない。自分を讃える言葉はたくさん出てくるが、話の内容はほとんどないので、話半分に聞き流す。10分ぐらい話しているが、出てきた情報は10年前だけだ。

 お前のことはどうでもいいから、さっさと話せ。

 おっと、申し訳ありません。オホホ。


「ーーそろそろ、婚約者をとるように父上に言われていたのだが、皆、俺という高貴な存在であり、時期国王の妻を望むものが居らなくてなーー」


 お前が愚かすぎであり、お前が王位を継承することは絶対にないと思っているので、関わりたくないだけです。第二王子殿下でいらっしゃるセシル様にはあなた以上に、いえ、比べるのも可哀想なぐらい、希望者がいらっしゃいます。


「ーーセシルには多くの話が来ているようだが、俺に来ている分をあいつが羨ましがって、奪っているに違いない。なんて、陰険なやつだと思うときもあるが、俺は許してやっているのだ。それにあいつはーー」


 現実を見ることができていないらしい。なんて哀れなのでしょう。誰かこのものに慈悲を……入りませんね。それに、第二王子殿下を陰険と言った瞬間に、周りの人が皆、あなたを睨んでますよー。気づいたらどうですかー


「ーーセシルのせいで、俺の大事な婚約者が決まらないからな、父上と話し合ったのだ。自分から俺と婚約したいという奴を、寛大な俺様が、婚約者にしてやろうとな。そんな時に、アイリス・フォードから婚約を申し込まれてな。爵位は足りないが、そんなことは関係ないと父上に言われたのでな。許可してやったのだーー」


 まだ喋っていますが、放置しておきましょう。


 ものすごく長いお話しでしたので、ちゃちゃを入れながら、抜粋させていただきました。けれども、あれ以上他に、重要な内容は全くありませんでした。

 けれど、あの叔父たちは、どれほど私に迷惑をかけてくるのでしょうか。処刑されても、まだ問題を置き土産として残していくとか、嫌がらせの天才なのではないでしょうか。

 

 それに陛下も頭がおかしいです。さすが、あれの親なだけはあります。爵位は関係あるに決まっているでしょう。それに、あなたはそれで問題になっていることをまだ理解していないんでしょうか?してないんですよね。知ってました。理解している人の発言ではないですよね。

 ほんとに親子揃ってバカなのだろう。救いようがありません。

 

 本当に、リリア様がいなければ、この国は終わっていたでしょう。それほどまでに、この国の王族はお話になりません。

 リリア様には頭が上がりません。毎日、あんなのと顔を合わせるとか、私には絶対に無理です。


「…それなら、殿下の婚約した相手は、私の従姉妹のアイリスですよね。私は関係ないじゃないですか」


 まあ、それは置いといて、殿下の婚約者は処刑された、私の従姉妹の姉ということになります。どうして、私を婚約者と思っているのでしょうか?


「そのアイリスが何か犯罪を犯したから、代わりにお前が婚約者なのだろう?それを嫉妬でこんなことをするとは、つくづくフォード家は愚かなものだな」


 みなさん、私、キレて良いですよね。

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