6.私がいじめを?どちらかと言えば逆なのでは

 それでは、私がいじめをしたという話に戻しましょうか。


 今回の話の原因である、私がシシリー様をいじめたというお話ですが、それは絶対にないと言い切れるのです。


 皆さんだけに、私がイジメをしていないということを段階的に説明していこうと思います。なぜ、皆さんだけのか、それは第一王子に言っても時間の無駄だからです。理解できないし、しようともしてくれませんから。

 話すだけ無駄なのです。あれは皆さんのように賢くないのです。

 

 それでは、一つ目です。これが一番大事な事なのですが、第一王子が言っていた私がイジメをしたという人物を思い出してください。シシリー・シルバー様です。そうです。あのシシリー様です。

 私の将来の義妹です。ジーク様の妹様なのです。思っても見てください。将来の婚約者の妹、それも命の恩人の妹様であり、不審者の私をシアお姉様と慕ってくださった天使様です。そんな方に手を出すでしょうか。なんの理由があって?

 理由もなしに、私の立場でシシリー様をいじめる方は蛮勇という意味で、尊敬させてもらいます。まあ、参考にはしませんが…


 次に、二つ目です。前提として、私は第一王子の婚約者ではありません。それに、あんなバカに一切興味はありません。私には、ジーク様がいるのです。ジーク様を裏切って、あんなバカに惹かれるようなポンコツな頭はしていません。私はジーク様一筋なのです。


 最後に、三つ目です。私は1週間に一回、シルバー家にお邪魔させてもらっています。そこではもちろん、シシリー様とも出会います。誰がいじめた相手の家に1週間にいけるのでしょうか。そんな精神の持ち主は羨ましい限りです。私には無理です。吐いてしまいます。

 ハッ、汚い表現、申し訳ありません。


 こんな感じで、次々と理由は出てきます。普通の頭の持ち主なら、一つ目の理由の時点で、シシリー様だけはいじめる対象にはなりません。私には絶対に、絶対に無理です。勘弁してください。


 それに、シシリー様が突き落とされた現場には、確かに私がいました。ですが、全部私も一緒に被害に遭っているのです。シシリー様が何者かに階段から突き落とされた時は、私はシシリー様を咄嗟にかばい、私が下敷きになるようにしました。

 そのせいで、帰りはシルバー家になり、家族総出で説教をされました。ジーク様はとても怖く、シシリー様には延々に泣きじゃくられて、精神がとても辛かったです。あの時、犯人の顔を見ることができていればよかったのですが、不覚です。


 次に、池に落とされた時は、シシリー様の手を掴み、一度はなんとか落ちずに済んだのです。一度は。なぜかその後、私が押されて、シシリー様ごと池に落ちました。

 皆様も、もうお分かりでしょう。ええ、連行されましたとも、シルバー家に!今回は私、何も悪くないのに!前回もですけど!

 皆様に懲りていないのかと怒られてしまいました。


 理不尽です!撤回を求めます!

 …言えませんけれども!


 こほん、そういうことで、シシリー様がいじめられているとして、私も被害に遭っているのです。そんなバカなイジメがあるのでしょうか?ないと私は思います。

 それにあの時、私を池に突き落とした奴は、逃げ去る際、ガチャガチャと音がなっていたので、騎士関係の者でしょう。

 あの側に、王子はいませんでした。それなのに証言しています。犯人が誰か言っているような者じゃないでしょうか。あの足音は王子に命令された誰かなのでしょう。


 シシリー様もあんな奴に目を付けられるなんて、美人すぎるのも不憫なことです。普通が一番です。普通が。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る