行きつけのカフェに流れるのは、学生時代に聴いた印象的なブルーノート。それは、かつての恋人が弾いてくれた思い出の曲だった。忘れていた記憶がほどけるとき、今を生きる明子は何を思うのか。青春の色は十二年の時を経ても、すがすがしい青のまま。雨上がりの空のように明るく、爽やかな筆致をお楽しみください。
喫茶店にはいると顔なじみの店員が迎えてくれます。タイミングが悪く、声を張り上げて電話を切ったところ。大学生の店員くんは将来に不安を抱えているよう。12年前自分が学生だった頃の記憶がよみがえります。主人公はジャズピアノをやっていたのですね。タイトルにピッタリ。別れた恋人の智昭も。智昭は大成し、耳を傷めた自分は普通の会社員。ほろ苦い。
立ち寄ったカフェで流れだした懐かしい曲。思いだすのはかつての恋人――という、共通プロットで書く筆致企画の参加作です。 大人の苦みと青春の痛み。そして、恋の行方。 ことごとくツボを押さえてくるこちらは、読後もやさしく清々しい、正統派の王道ストーリーです。 シェケラート(イタリア版のアイスコーヒー)をお供にぜひどうぞ。
いつも通う喫茶店に、流れてきたブルーノート。「もしかして明子さん、ついこの前グラミー賞を獲った杜若智昭の知り合いだったりします?」アルバイトの浅葱くんに言われて、明子は思い出す。昔の自分を。思いを馳せる。夢を叶えた今の智昭を。一つのことが終わったからと言って、無くなるわけじゃない。逃げて、追いかけられて、後悔して。それでも別の道を見つけて、これも結構幸せかな、と思った矢先に、それは時を経て、続きを奏でるかもしれない。人生何があるか分からない。二者選択だけじゃないかもしれない。そんなことを期待させる、キュンキュンな最後の一言、是非読んで!
自主企画【筆致は物語を超えるか【初夏色ブルーノート】】参加作品好きだという気持ちを抑えることが出来なくなるほど好きな作品でした。たまらねえ……! 少女漫画が好きな人はもはやたまらねえ要素しか存在しない恐ろしさ!同プロットから作者様がそれぞれの作品を紡ぐ自主企画で最初に読んだ作品がこれほど破壊力抜群でどうしようかと震えが止まらなくなりました。
筆致企画に参加の作品。今回のポイントは、カフェ、音楽、過去……なのですが。この要素をバシッとストレートに決めてくれています。正統派なのではないでしょうか。企画もの抜きにしても、短編として無駄のない展開、読みやすさ、メッセージ性もあって、読後も爽やかです。ラスト、驚きの展開にも面白い。おすすめです。
音楽のような描写。冒頭の文章から、夏の通り雨の音が聞こえてきそうな描写に、まず舌をまきました。ゆあんさんの自主企画「筆致は物語を超えるか」に参加作品です。お読みください。ラストシーンで、おおおって、思います。
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