第5話 妹とデート③
なんで柴田さんがいるんだ?
「休日に会うのは初めてだね明日はよろしく。」
「うん。楽しみにしてる。ところでなんで女性服を持っているの」
「もしかしてデート中?」
(多分そんなことは無いけど一応聞いておこう)
「い、いやちが……」
(なんでそんなことを聞いてくるんだよ)
「ねぇー奏に似合う服を選ぶのにそんな時間かかるの」
(おいー奏。タイミング悪すぎだろ)
「本当にデート中だったんだ……。なら明日はやめておく?彼女いるのに女子とお出かけはできないでしょ。」
(彼女いるなんて。まぁしょうがないよね)
「いや……」
「誰、この綺麗な女性?」
「柴田栞さん。明日一緒に出かける予定の人だよ」
「初めまして、柴田栞です。もしかして久保くんの彼女ですか。」
(可愛い。久保くんはこういう子が好きなのかな)
「いやいやいや、違います。私は久保奏。お兄ちゃんの妹ですよ」
「妹の奏だ。彼女じゃない」
「よかったー。早とちりしちゃった。ごめんね久保くん」
(彼女じゃなかった。安心した)
「よかったー?」
「なんでもないよ」
「そうか。別に謝らなくていいよ。俺もあんまり説明できなかったから」
「一緒に出かけるってことは柴田さんがお兄ちゃんの彼女ですか」
「えっ!い、いや違うような違くないような」
(えっ彼女に見える?嬉しいな〜)
なんかゴニョニョ言ってよく聞こえない。でも
「違うよ。さっきも言ったけどお礼で一緒に出かけるだけだ。そうだよね」
(柴田さんが百面相してる...。)
「そ、そうだよ」
(この意気地無しー)
「本当に彼女ではないんですね」
「ならお兄ちゃん先に帰って」
「なんで」
「いいから、バイクで私の買ったものと一緒に帰って」
「だからなんで」
「柴田さんと二人で話したいから」
「いやダメだろ」
「女の子は女の子で話したいことがあるの!」
「いや、でも……わかった。俺はいいけど柴田さんは大丈夫?」
「私もこの後の予定は無いよ」
「じゃあ先に帰るからくれぐれも柴田さんに迷惑をかけるなよ。そして変な話はするなよ」
「もちろん」
「わかった。柴田さんも奏をよろしく」
「任せて」
俺は家に着いてずっと考えてた。
(何を話すんだろう。奏のことだから悪口とかはないと思うけど気になる。帰ったら聞いてみるか。)
コンコン
「はーい」
ガチャ
母さんが部屋に入ってきた。
頭上の数字は95%とこちらもかなり高い。
久保早苗。年齢よりかなり若く見える。この人から奏が生まれるのは納得だ。俺がこの顔で産まれたのは納得できないけど……
「航大、さっきお金貸してって言ってたけど遊びに行くの?」
「うん、明日行く」
「そう、いくら?」
「5000円」
「わかったわ。はいコレ」
「ありがとう」
「じゃあ相手の女の子に嫌われないようにしっかりやるのよ」
「うん。.........え?俺、話したっけ」
「何言ってるのよ、航大がオシャレをしようとするなんて相手の子は男の子じゃないでしょ。だてにあなたの母親を15年以上やってませんからね」
「そう、だね」
(うわ!恥ず。一緒に行こうとするのを隠してから絶対に彼女だと思われてる。)
「とにかく頑張るのよ」
「はーい」
(母親すげー)
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