第31話 振られる前提かよ

(言っちゃったー。勢いに任せて、またうちに呼んじゃったよ。どうしよう……明日はお母さんはいないし、未来は部活だし。2人っきりだよ。とりあえず帰ってからお母さんに相談しよう)


私は部活が終わって、家に帰った。

「ただいまー」


「あら、おかえりー」


「おかぁさーん」


「どうしたのよ。可愛い顔が台無しよ」


「実はね……ということになってるの」

私は今日の昼に久保くんに言ったことをお母さんに話した。


「あら、ちょうどいいじゃない。そのまま告白したらどう」


「えっ!告白?」


「ええ、告白」


「でも迷惑じゃないかな」


「栞、彼みたいなシャイボーイにとって告白っていうのは中々ないイベントなの。栞や私みたいな慣れてる人はそうでも無いかもだけど。栞も最初は嬉しかったでしょ」


「うーん」


「それに、好きでもない相手と買い物に行ったり、家に行ったり栞はする?」


「しない」


「でしょ。だからしてみなさい」


「うん!私頑張る」


「成功したらそのまま押し倒してベットインよ」


「ちょっと!何言ってるの!」


「嘘よ」


「もぉ〜、ほんとにやめてよね」


「でもいつかは……」


「娘とそういう話しないの!」


栞は階段を上がって自分の部屋に向かった。


(もし成功したら1番の敵はお父さんね。栞はどうするのかしら…)


———————————————————————

「はぁ、玉砕前提なのはなんとも言えないが、できれば明日中には何とかしたいと思ってるよ」


「おっ!」「頑張れよ」


「ちな、結果の報告は⋯⋯」


「もちろんしてもらうわ」

「は?当然のようにしろよ」


「へーい」


青柳、若宮と話してから俺は帰路に着いた。

帰宅後はすぐにベットに横になった。そして、明日のことを考えていた。


「はぁ〜なんであんなこと言っちゃったんだろう。明日告白?俺が?俺にそんな勇気があるわけないだろ。そもそも柴田さんは俺に恩を感じて優しくしてくれてるだけで好意はないはずなのにー」


コンコン

「はーい」


「お兄ちゃん!入るよ」

ガチャ


「おい!急に入ってくんなよ。兄妹と言っても思春期の男子高校生だぞ」


「お母さんいなくて良かったね。多分、家中に聞こえてるよ」


「おい!無視すん…まじ?」


「まじ」


「聞こえてた?」


「かなりガッツリ」


「まじかよ」


「まじだよ」


「なんだよ、兄貴の恋を邪魔しに来たのか?」


「違うよ!むしろ応援に来たの」


「応援?」


「当たって砕けるなら早い方がいいよ。高校生活の思い出の1ページ目として」


「妹まで砕ける前提とは…」


「いいから、絶対に明日のうちにするんだよ。振られても私が気まづくならないようにしてあげるから」


「……サンキュ」


「じゃ、戻る。うるさいからそれ以上騒がないでね」


「へーい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る