第8話 柴田さんとデート②

柴田さんが話があるとかで近くのカフェに入った

(さて、どんな話だろうか)


「まずは謝らなくちゃいけなくて、」


「どうしてだ」


「昨日さ、○×ショッピングモールで会ったでしょ」


「うん」


「今日、あそこに行くつもりだったんだけどね下見をしてたら久保くんがいたから今日はどこ行くか決まってないんだよね」


「なんだ、そんなことか」


「それでどこか行きたいとかある?」


(ないんだけど「ない」なんて答えたら奏に怒られるだろうな〜)

「俺へのお礼だからってどこかは気にしなくていいよ。柴田さんの行きたいところに一緒に行ければ俺は楽しいよ」


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらうね。実は行きたいところがあるんだけど1人行くのは少し恥ずかしくて一緒に行ってほしいの」


「もちろんいいよ。それでどこに行きたいの」


「西森動物公園に行きたくて。子供っぽいとか思われたくないから友達には言えなくて」

「もちろん入場料やお土産代はお礼ということで払うから」


「わかった、一緒に行こう。でも駅から遠いし電車も結構遠回りすることになるよ」


「そこで提案なんだけど久保くんのバイクに乗せてくれない」

(キャー、私言っちゃった)


顔を紅くして頼んできた。


「もちろんいいよ」


「ありがとう」

「それともう1つ、一緒にいるところは誰かに見られたくないの」

(もし誰かに見られたら恥ずかしくて死んじゃう)


「あーうん」

(それはそうだよな。俺なんかと一緒にいて学校で噂とかされたら嫌だもんな。)


「でも、絶対に見られないのは難しいよね」


「それなら大丈夫だよ。俺は勘がいいから多分気づけるよ」

(ほんとうは、俺を知らない人には好感度が出ないから人が多くても頭上を見ればすぐに気づける。なんて言えないな。)

(好感度が見えるようになって唯一の利点だ)


「わかった」


「もともと西森駅近辺に北川高校の人はいないし」


「確かに」


その後、頼んでいたものを飲みほし、会計を済ませてバイクで西森動物公園に向かった

あの時の背中の2つの柔らかな感触は最高だったがもちろん言わない


午後11時に着き、入場チケットを買った


「動物園なんて久しぶりだな〜」


「私も。元々動物は好きだけど友達には言えないからね。久保くんは動物好き?」


(すきでも嫌いでもないけど、柴田さんが動物好きってことを唯一知ってるからもしかしたら今後も一緒に行くかもしれない。)

「俺はめちゃくちゃ好き」


「どんな動物が好きなの。私はレッサーパンダだよ」


「俺はライオンかな」


「あ〜カッコイイもんね」


「うん」



半分くらい見て回り、1時になったので休みがてら動物公園内のレストランでお昼ご飯にすることにした


席に座るなり、すぐに

「久保くんは何にする」


「とりあえずメニューを見たいな」


「ア、ハハハハ…そうだね」


(意外とポンコツなのかな)


「ここも私が払うから好きなの頼んでいいよ」


「そういうわけにはいかないよ。ここは頼んだ人が頼んだ分だけ払うようにしよう」


「わかった」


そしてお互いメニューを見る。

(大盛りラーメン食べたい!でも久保くんとデートだし大食いなんて思われたくないな)


(大盛りラーメン美味しそ。これにしよ)



ピーンポーン


「ご注文はお決まりですか」


「大盛りラーメン1つと」


「カルボナーラパスタ下さい」


「かしこまりました。ただ今、キャンペーンでカップル割引をしていおりまして、このラブラブトロピカルジュースを頼むと半額になりますがいかが致しましょうか」


「「……」」

(どうしてくれるんだよ店員!この微妙な空気を)

(どうしてくれるんですか店員さん!この変な空気を)


目が合った


「私はいいよ」


「俺も大丈夫」


「「ご遠慮しておきます」」


「かしこまりました」


2人とも平然を装っているが実際内心では2人とも後悔していた


(あー失敗した、頼んでおけばよかった。半額ならと頼んでも言い訳できるのに!柴田さんもずっと無言だし)


(失敗した!トロピカルジュース頼めばよかった一緒にカップルみたいにしたかったのに。あとラーメン頼めばよかった〜)


「「……」」


その後のお昼ご飯は終始無言が続いた。

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