第9話 柴田さんとデート③

俺は食べ終わり、柴田さんを待っていた。そのとき、テーブルの上に置いていたスマホが鳴った。

下に向けていたため、誰からか分からないが、せっかくのデートを邪魔されたくないので無視をしていると

「スマホ、鳴ってるよ」

柴田さんに指摘されてしまった


「う、うんちょっと待っててね」


俺はレストランを出て動物公園内の人が少ないところに向かった。

画面を見ると、相手は圭だった。


「どうした圭。お前が電話なんて珍しいな。急用か」


「いや〜別に急用ってほどでもないんだけどさ、今話せるか」


「5分くらいなら」


「悪いな」


「それで?」


「若宮まゆかからLINESまたは電話が着てないか?しかも告白的な感じのやつ」


俺の心臓はドキッとした。

(なんでこいつが知ってんだ。こいつは信頼できるし、どうしようかな……)

「着てたけど、なんでお前が知ってるんだ」


「お前について色々聞かれてな、答えた。しかも去り際に、告白してくる。みたいなことを言ってたからさ」


「あ〜」


「どう答えるつもりか分からないが一応な。お前なら間違えとか嘘コクとかと考えるだろう?その手のイタズラではないということを伝えようと思って。それと、勝手に話してしまったことを謝ろうと思って」


(完全に見透かされている)

「話したことは別に怒るような事じゃないし、むしろサンキューな。色々気を使ってくれて。今日は忙しくてまだ既読すらつけてないけど」


「そういえばお前どこにいるんだよ後ろからガヤガヤ聞こえるけど」


「内緒」


「そうか。そろそろ5分だ、時間取らせて悪かったな。」


「いや、そんなことないよ。俺のためにやったんだろ?サンキューな圭」


「おう!」



電話を済ませ、レストランに戻ると入口の近くに柴田さんが待っていた


「ごめんね待たせちゃって」


「全然大丈夫だよ。」


「払っておいてくれたの?ありがとう。いくら」


「700円だけど大丈夫。元々お礼ってことだし」


「…わかった」


「じゃあ続き、見に行こう」


「うん」


「私モルモットの触れ合いに行きたい」


「じゃあ行こう」


少し歩いて、モルモットの触れ合い場に着いた


「2人分で500円になります」


「ありがとうございます。では奥に進んで下さい」


「可愛い〜〜」


「そうだな。てか大きい」


「私もハムスターくらいと思ってた」



そのあとは20分くらい触れ合った


「可愛かった」


「だな」

(モルモットと戯れる柴田さん最高だった)


「私はもう満足だけど久保くんはどう?」


「俺もかなり楽しめた」


「そう。じゃあ帰りますか」


「りょーかい。駅まで送る?それとも家まで送ろうか?」


「じゃあ、お言葉に甘えて家まで送ってもらうね」


「わかった」

(これで自然に柴田さんの家を知れる)


……


「次の角を右に曲がって2個目の信号を左に行って……あの青い屋根の家」


家に着いたのは5時だった


柴田さんの家に着いて、俺はバイクを止めた


「今日はありがとうね」


「こちらこそ、お礼とはいえ、結構払って貰っちゃったし」


そのとき、後ろの玄関のドアが開いた

中から中学3年生くらいの女の子が出てきた。妹かな?


「あの娘は妹の未来、奏ちゃんと同学年だよ」


「奏と同学年って学校は一緒?」


「たしか、違ったと思う」



「そうか」

未来ちゃんの好感度は20か少し低いくらいかな。



ジーーー


すげー見られてる


「お姉ちゃんが男の子連れてきた」

後ろからもう1人でてきた。大人っぽい印象だ

「おかえり栞。……あら、栞やるわね」


「違うよそんなんじゃないって」


凄く仲良さそう


「お姉さん?」


「違うよ、お母さん」


「ほんとうに?素で間違えた」


「嬉しいこと言ってくれるわね。ところで君は栞の彼氏で大丈夫?」


「ちょっ!お母さん。ちがうよ」

「違いますよ」


「あら、ざーんねん」


すごく楽しそうにしている

「でも栞が男の子を連れてくるなんて初めてよ。2人はどんな関係なの?」


「受験の日に私がお金を忘れたのは知ってるでしよ?その時にお金を貸してくれたのがこの久保くん。そのお礼でも今日は一緒にでかけたの」


「です」


「そう。あなたが前に栞が話してくれた男の子なのね。その節はありがとうございます」


「気にしないで下さい。俺がするべきと思ってしたことですから」


「……顔は普通より少しいいくらいだけど、優しいいい男ね。いいわ、栞との交際を認めます。」


「母さん!ほんとにそんな関係じゃないから」

少し怒ってる。

「久保くんもごめんね、こうゆう親なの。」


「面白いし、いいお母さんじゃん」


「そう言ってもらうと助かるよ」


常に柴田さんのお母さんはニコニコしていた。

好感度は65と結構高い


「じゃあそろそろ行くよ」


「そう。じゃあね、また明日」


「あら、このまま上がってくれていいのよ」


「もう遅いですし、御遠慮しておきます」


「わかったわ」


「今日は本当にありがとう」


「こちらこそ楽しかったよ」

柴田さん、ずっと笑ってくれてたけど作り笑顔なんだよな……



別れてから、10分くらいで家に着いた。

「「おかえり」」


「だだいま」


「「どうだった」」


「うるさい、疲れたからもう寝るね」


「あら、夕飯はどうするの」


「いらない」


「そう、おやすみ」


「おやすみ」

俺は翌日の学校を備えて寝た。


このとき、俺は若宮さんのことを完全に忘れていた。

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