第25話 でもいちゃついてないもん

未来ちゃんが柴田さ……栞さんの部屋に襲来してからしばらく経った。

最初は気まずさがあったが、お茶を飲み、少し雑談したら落ち着いた。


「今日はどの教科をする」


「ん〜私は苦手教科とかないから久保くんがやりたい教科に合わせるよ」


「ありがとう。じゃあ理科と英語をやりたい」


「わかった。午前は英語をやろう。わからなかったらなんでも聞いて。最悪お母さんに聞くから」


「あの人、勉強できるんだ」


「私も驚いた。お父さんに聞いたら高校の学年1位を3年間キープしてたらしい。しかも偏差値65以上の高校で」


「へ〜。し、栞さんに似てる」


「栞さん///」


「照れないでくれると嬉しい。俺も恥ずかしいから」


「う、うん」



この会話を後に勉強に集中した。……かった

緊張のせいか汗をめちゃくちゃかく

もちろん勉強に集中していることを装っているが好きな人を前にして集中できるはずもなく30分ほどボーッと問題を解いていた。



「その……」


「なに?」


「トイレ借りたいんだけど」


「えっと……階段降りて1つ目のドア」


「ありがとう」



それからいそいそとトイレに向かった。

用を足し、トイレを出ると栞さんのお母さんに捕まった。

「集中できてるかしら」


「はい。僕は集中できてます」


「その割には汗がすごいけど。もしかして変な期待でもしてたのかしら」


「してませんよ」


「あら、そう?あんなに可愛いんだから少しくらい期待してあげなさいよ」


「これが母親のセリフですかね」


「あの子の幸せを願うのが母親ですから」


「答えになってませんよ」


「それは……」


「あー!遅いと思ったらやっぱり捕まってた」

怒ったような栞さんのがいそいそと階段を降りて俺の袖を掴んだ。


(ヤバい。ドキドキする)


「あら!」

栞さんのお母さんは嬉しそうな声と顔だか何も言わないでリビングに戻って行った。


俺も栞さんと部屋に戻る。


しかも何故か袖を掴んだままで。

本当になぜ!

やばいから早く話してほしい!

俺がどうにかなってしまう



「あの……」


「どうしたの」


「袖……」


「わっ!///////その……ごめん」


「いや」


(やっと話してくれた。嬉しいような悲しいような)


「よし!じゃあ勉強の続きしよう」


「うん」



それからは慣れたのかかなり集中して勉強できた。

分からないところも栞さんが教えてくれる。しかもかなり上手い。

スイスイと進み、苦手で後回しにしてた提出物が終わった。


「お疲れ様」


「おつかれ。教えてくれてありがとね」


「これで70点以上取れてなかったら罰ゲームね」


「……聞いてない」


「うん!初めて言った」


「ちなみに内容は?」


「定番だけど言うことをひとつ聞いてもらう」


「まぁいいけど、俺にメリットなくね?」


「成績が上がる」


「まぁ、でもなんかずるい」


「じゃあ私が全部85点以上取れなかったら私も罰ゲーム受けるよ」


「それならいいよ」



コンコン

「イチャついてるとこ悪いけどそろそろお昼ご飯よ」


「イチャついてませんよ」

「イチャついてないもん」


「でもその会話はラブコメディに多いわよね」


「まぁそうですね」


「でもイチャついてないもん!」


「わかったわ。さぁ、お昼ご飯にしましょう。久保くんは10分くらいこの部屋にいてね」


「なぜでしょうか」


「女の子には色々準備があるのよ」


「……はー」

(そう言われたらもう言い返せない)


「じゃあ栞!行くわよ」


「はーい」

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