概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!尖って錆びついた世界を誠実に語ること
いつもトリップしてばかりの薬物依存の十七歳の少女が、ふとしたきっかけから小学生の女子と知り合うお話。
仄暗く、アンモラルな雰囲気の青春ものかと思いきや、ただひたすらにシリアスで誠実な物語でした。モチーフに対する誠実さ。お話の軸に思い切り食い込み、かつ鮮やかな表現によって作品全体を彩る「薬物」というものを、まさかこのような物語として組み上げるとは思いもしませんでした。反省というか、自分のいい加減さを恥じ入るような気分。
というのも、序盤から中盤、トリップしている最中の描写が、本当に鮮やかで気持ちいいんです。加えて主人公の境遇や言動の、頽廃的でざらつくような痛みの手触り。そこからつい想起し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!痛みとの約束
詩のような、祈りのような、その物質の魔力に取り憑かれた者たちだけが口ずさむことのできる歌のような。
あの不思議な言葉たちはきっと痛みとの約束なのだ、そんなふうに解釈しました。
美しさとは同時に怖さを感じさせることが多いものですが、あの“歌“にはそんな力を感じます。
不思議な浮遊感と落ち着かなさ、魂がどこかへさらわれたような不安。繊細に紡がれた言葉の抒情に魅せられながら、現実との境目を束の間、見失います。
美しくて、怖くて、悲しい。
薬物依存というテーマ自体がweb小説で扱われることが稀有な上、その圧倒的な教養や、エネルギーの暴走を抑制しながら書いてゆく理性、ポエティックな言葉のリズム。
そ…続きを読む