概要
山奥に存在する金峰村──その村長の孫娘の身代わりとして攫われ、神楽舞の舞い手の任を担うこととなった美貌の青年、波分篝。本意ではない中で村祭りへの参加を余儀なくされた篝は、狭苦しい村の呪縛から逃れようとする村長の娘、桐花と共に犠牲なき祭りの成功を目指して奔走する。
外界から隔絶された村、其処で語り継がれる伝承と信仰。たった一柱の人を愛した神と、神を一人の人として殺さんとする翳。揺らぎ迷える人の業と、人ならざるモノの物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!誰がために舞うのか
とある時代、波分篝はある調査のために山の中にいましたが気づくと見知らぬ村の座敷牢にいました。彼は金峰村の神楽舞の担い手として選ばれてしまったのです。
その神楽をやる祭りは曰く付き。舞った担い手は後に死んでいくとされています。そんな彼は座敷牢の中で苅安という青年に出会い村について説明され、更にその後村を治める一族間ノ瀬のものである間ノ瀬桐花と呼ばれる女性に出会います。彼らは村の犠牲が出る、すなわち生贄となる祭りに犠牲を出したくないと言うのが目的でした。桐花は村の祭りや閉塞感に嫌気が差して、村の外に出たがっていました。彼女は村の外に出たことがないのです。
しかし、祭を成功させなくては篝を含めた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ふとした謎の明かされる背景に、貴方は驚き感動する。
世間の風潮から断絶された山奥に、ひっそりと佇む金峰村。
主人公である篝はその牢屋で目を覚ました。
彼は、村の祭事に纏わる陰鬱な災禍の生贄として捕らえられたのである。
しかし篝は理不尽な現状に屈しなかった。
迫る刻限の中で僅かばかりの自由を駆使し、彼に同調する個性豊かな協力者達の力を借りて、村の謎に追求していく。
しかし深みに潜れば潜るほどに新たに現れる謎。影のようにチラつく、ここには居ない誰か。
徐々に浮き彫りになっていく、幽世にも似た異質な領域に青年は震撼した。
しかし、明かされたその背景には、邪悪、憎悪とは別に人間としての情愛と悲懐があった。
最後まで読んだ人はもう一度、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!深秘に包まれた村に眠るものは何か。謎が謎を呼ぶ伝奇物語
閉鎖的かつ古い因習が残る山奥の村、金峰村に攫われ、土着神に捧げられる神楽を舞うこととなった主人公、篝。村で出会った協力者たちと共に、村が抱える秘密へと迫っていくが、彼自身や協力者たちにもまた秘密があり――?
読みやすい文を追っていくうち、登場人物たちの事情や世界観が少しずつ明らかになってきたかと思いきや、かなり気になる新たな謎が残されていく。読み進めるほど次話を求めてしまい、はまり込んでしまう作品。徐々に明らかになっていく謎、唐突に明るみに出る謎とその答えは驚きと、じんわりと溢れる切なさを与えてくれます。
ダークでミステリアスなだけではない、美しく切ない伝奇物語。人を好いた罪を背負ったの…続きを読む