誰がために舞うのか

とある時代、波分篝はある調査のために山の中にいましたが気づくと見知らぬ村の座敷牢にいました。彼は金峰村の神楽舞の担い手として選ばれてしまったのです。

その神楽をやる祭りは曰く付き。舞った担い手は後に死んでいくとされています。そんな彼は座敷牢の中で苅安という青年に出会い村について説明され、更にその後村を治める一族間ノ瀬のものである間ノ瀬桐花と呼ばれる女性に出会います。彼らは村の犠牲が出る、すなわち生贄となる祭りに犠牲を出したくないと言うのが目的でした。桐花は村の祭りや閉塞感に嫌気が差して、村の外に出たがっていました。彼女は村の外に出たことがないのです。
しかし、祭を成功させなくては篝を含めた神楽の舞い手の命はありません。
篝と桐花は村から出るために、苅安は祭りを止めるために、冬という不思議な人物と交流しながらも、今回の行われる祭りを成功させて不可解な舞い手の死を止めなくてはならないのです。

その中に出てくる語られる伝承や人物の謎。忘れ去られ、隠されている想い。見えてくる我々の醜い人の業について。所々に伏線が隠れていて、ついつい追って読んでしまいます。

重い伝奇が好きな人にたまらない物語。皆様、一読して見てはいかがでしょうか?

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