発音の種類Ⅱ-IPA(子音)
前回に引き続き、今回はIPAの子音についてです。母音よりもはるかに種類やバリエーションが多いので、応用が楽しみですね。ちなみに子音は二つページがありますので、二つ示しておきます。
(肺気流)http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/consonant_pulmonic.php
(非肺気流)http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/consonant_nonpulmonic.php
〈肺気流と非肺気流〉
もうすでに変な単語が出てきていますが、一言で言えば肺気流というのは「日本語のすべての子音発音」で、非肺気流というのは「肺を使わず口の中などでなされる発音」です。説明したからには最後まで言っておきましょう。非肺気流には二つの種類があって、一つは喉頭を動かして気流を作るもの、もう一つは軟口蓋+舌で気流を作るものです。
また、喉頭気流は流出する音(放出音)と流入する音(入破音)どちらもあるのに対して、軟口蓋気流は流入する音(吸着音)しかありません。ちなみに肺気流は流出する音だけです。息を吸いながら発する音なんてありませんか
〈子音の解説〉
少しニッチな話が長くなってしまいましたが……、ではいよいよ肺気流子音を見てみましょう! 表は……、ぐちゃぐちゃですね! でも一応法則性はありますので、ご安心を。この二つにわかれた表は上と下に分かれているだけで、もともとは一つの表です。上のものの右に、下の表がくっついた姿が本来の姿です。わかりにくくて申し訳ないです。もし完全版が見たい場合は調べていただくか、こちらから「IPAチャート日本語」をダウンロードして下さ
見方なんですが、左が唇(前方)、右が声門(後方)という風に、またまた口を真横から見た構造になっています。また上下は子音の「妨害」の度合いで、破裂音がもっとも気流を妨害し、側面接近音が妨害の力が弱い、ということを意味しています。
一つのセルに二つの記号がある場合がありますが、これは左が無声・右が有声ということです。有声と無声の違いは、ずばり声帯が震えているか、震えてないかです。sとzがわかりやすいですね。喉を抑えて「ス」といってみたあと、「ズ」と言ってみてください。喉が最初から震えるのはzの音だけだったと思います。
さあ、一通り説明は終わりました。もう一つだけ言うとしたら、硬口蓋・軟口蓋でしょうか。まず舌さきを上歯茎に付けてください。そのままずーっと後ろに移動させていくと、硬かった部分が急にがくんと落ち込んで、柔らかくなると思います。その硬い部分が硬口蓋で、奥の骨がない、柔らかい場所が軟口蓋です。以上。
〈子音発音と種族〉
ファンタジー応用タイム! 今回は少し前にやった「発音を決めるⅠ-発音の特徴」の発展です。例えば「フ」という音一つをとっても、ɸかfという違いがありますからね。前者は日本語と同じで唇を近づける発音ですが、後者は英語のような、上の歯と下唇を合わせる発音です。
このように、子音は「母音に調音器官を用いた妨害を加えた音」なのです。つまり、この調音器官というものが種族によって違った場合、現実にはない発音ができたり、または特定の子音がとてもよく出てくる言語になったりするでしょう。
そうですね、例えばバンパイアは、上の犬歯が異常に発達しているイラストがありますが、そのまま世界に導入するのであれば、下唇を使う子音は使えないでしょう。唇歯摩擦音(fやv)はもちろんのこと、舌を前に出す音も出しにくいでしょうから歯摩擦音(θやð)もバンパイア語にはふさわしくありません。
また、オーガ族は下の犬歯が異常に発達している(ちょうどバンパイアの逆)場合が多く、もしそうなるとやはり唇を使った発音は難しいでしょう。非肺気流にも目をやれば、両唇吸着音(ʘ)もあり得ない子音ということになります。
◆参考文献など
(1):当然のように東京外国語大学のサイトです。
(2):『日本語音声学入門 改訂版』p.18
(3):『楽しい日本語学』サイト
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