発音を決めるⅡ-音節の構造


 言語の発音的特徴は、使われる母音・子音の種類を決めることで作ることができます。今回はそれに続いて、「音節の発音構造」を決めてみましょう。

 まず音節というのが実は曲者ですが、今回は簡単に、この区分は「聞こえやすい母音」によって分別されていると思っていてください。


 どういうことかといいますと……、まずは下の例を見てください。

日本語:ringoりんご kudamonoくだもの dobutsuどうぶつ ningenにんげん hashiはし /総数31・母音13・子音13

英語 :apple fruit animal human bridge /27・11・17

 最初は音節を考えず、全体を見てください。何が違うかおわかりですか? そう! 子音と母音の割合ですね。日本語は基本的に子音と母音が一対一(あるいは母音が多く、子音が少ない)で、対する英語は子音の割合が多いんです。

 そしてもう一つ対照的な特徴があります。それが「語末」です。見てみると、日本語はほぼ必ず母音で終わっていて(開音節)、英語はほぼ子音で終わっています(閉音節。字を見ると母音で終わるものもありますが、発音上は子音で終わるのでappleもC子音で終わります)。

 ちなみに、英語と同じヨーロッパの言語でも、イタリア語は日本語と同じようにほぼ母音で終わる単語です。マンマミーア、パスタ、シエスタなど。



 〈音節構造〉

 いよいよ音節に焦点を当てましょう。上の日本語の音節の音声構造に一番多い組み合わせはCVとあらわされます。Cは子音、Vは母音の英単語の頭文字です。dobutsu・kudamonoはそれぞれCVCVCV・CVCVCVCVとなります。また日本語には二重母音があるので、Vが単体で出現することもあります(物言い:monoii CVCVVV)。こう見ると、日本語の単語の音節は、Vか、CVという組み合わせによって成り立っているのです。


 じゃあ英語はどうかと言いますと、実はかなり大変です。なにせ、英語の音節は無数にありますからね……。実例を挙げると、one・text・drink・bleathなどはすべて一音節です。言ってしまえば、これらは音節上、日本語の「手/て」と同じ扱いになります。こんな感じで英語の音節は、日本語話者にはかなりややこしいのですが、一度これを見てください。


a sound of a frog

jumping into water

the old pond


 古池や~の、有名な俳句です。これを英訳するとこうなるのですが、何だか文字が多いですね。でも、先に言った音節を数えてみると、キチンと5・7・5なんです。

 ちょっと脱線しましたが、感覚はつかめていただけたでしょうか? 英語はpig・text・drink・bleath/CVC・CVCC・CCVCC・CCVVCなど、音節構造が多様です。


 

 〈まとめ〉

 ……話をまとめましょう。日本語と英語では音節構造がまるきり違います。そしてこれらの違いはずばり子音と母音の関係にあります。日本語は子音が独立すること無く母音に吸収されるので音節が少ないのですが、英語は子音が独立・融合するため、音節数が非常に多くなっています。このような音節構造に名前があるのかは知識不足でわかりませんが、この違いを把握しておけば言語にまた一つ特徴ができるでしょう。


 ちなみに、中国語の音節構造はもっとややこしくて、「IMVE(t)」です……。ただこのように要素が多いということは、明確な型があるということですから、英語よりは断然音節数は少ないです。もちろん400くらいあると聞き及んでいるので、日本語よりは多いことに変わりありませんけどね。



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