言語変化Ⅰ -言語接触による変化


〈言語変化〉

 まず、異なる言語が衝突・接触すると何が起きるでしょうか? 答えは色々と有るのですが、一般的な現象を二つほど紹介しましょう。

①言語変化(言語連合の形成)

 言語変化は最も身近と言えます。それこそ日本語をみてみると、漢字の音読みは中国語を参考にしていますから、日本語は古代中国語に「言語変化」しているわけです。

 また特に様々な文化が地続きでひしめき合っているヨーロッパは特に言語変化が起きやすくなっています。ブルガリア語・ギリシャ語・クロアチア語などはいずれも語族が異なりますが、全て定冠詞を名詞の前に置く規則が共通しているのです。この類似した言語集団を、言語連合といいます。もし国同士が対立していたり、戦争状態でも、言語は連合状態なんですね。


②語彙借用

 現代では、世界中で様々な単語がものすごい勢いで生まれています。その新しく生まれた概念や認識などをそれぞれの言語に取り入れることこそ、「借用」です。コンピューター、カメラ、コントローラーなどはどれもアメリカから音すら反映して借用したものですね。これを「単純借用」といいます。それに対して経済、野球、幻想曲など、自国の言葉を用いて翻訳されたものたちを「翻訳借用」と言うのです。今の日本では圧倒的に単純借用が多いものです。



〈応用例〉

 ファンタジー世界に応用するときにうれしいのは言語連合でしょう。何と言っても、全く異なる言語が徐々に収斂していくのですから。

 さすがに大国同士が隣り合わせになっている場合はあまり変わらないかもしれませんが、例えば○○大陸の××地方には様々な小国がひしめき合っているとか言った場合、最初こそ言語もバラバラですが、時代を経ていくに従い酷似してくるのです。言語連合が形成されれば私たちが創作する言語設定も少なくて済みますし、それに何と言っても言語の垣根に頭を悩ませなくてもよくなる場合があります! 理由は単純、似通った言語はもはや学習せずとも意味が分かる場合があるのです。現実で言えば、スペイン語とポルトガル語は日本で言うくらいしか違いが内容で、互いにだいたい意味が分かるようですね。そうすれば、全く言語学習をしていない登場人物でも、言語連合の中ならC国やD王国、F公国どこへ行こうと何とか意思疎通ができてしまうのです!


 そのほか考えられるのは音節の追加でしょうか。エルフ語とオーク語が接触して、エルフ語の魔法学専門用語をオーク語に「単純借用」で導入する場合、オーク語にない音節が追加されます。日本語にも、もとは「ミュ」なんて音節は無かったのに、「ミュージック」などが単純借用したため今では日本語の市民権を得ていますものね。

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