第18話 2020年5月20日
起きてみると、なんだか寒い。天気予報を見てみると、今日はなんと最高気温17℃、最低気温11℃ということのようで、道理で急に夏から春先に戻った気がしたわけだ。
寒いので、お湯で顔を洗って、ダイニングに顔を出すと、今日も母さんと父さんが既に座っていた。
「おはよう、佑樹。今日、寒いわねー」
「うん。最近、夏みたいだったのに……」
「気温の変化が激しい。風邪をひかないように気を付けなさい」
「父さんこそ注意してよ」
まだしばらくは休校中だから、ちょっと風邪を引いたところでなんともない。今となっては、もうコロナウイルスに感染するかもしれないという恐怖もだいぶ薄れてきている。
部屋へ戻って、今日はどうしようかと考える。外へは昨日行ったし、今日は寒いからあんまり外に出たくない。それに、なんだか身体がだるい。ちょっとベッドでごろごろしよう。
ベッドで布団にくるまって、スマホをぼーっと眺めるけど、やっぱり身体がだるい。それに、少し熱っぽいような。気になって、体温を測ってみると、37.2℃。微熱だ。道理でだるいわけだ。
これだと、今日はヒナと遊ぶのは無理だな。何も送らないと心配かけそうだから、一応知らせておこう。
【ヒナ。ちょっと風邪引いたっぽい】
すぐさまヒナから返事が返ってきた。
【大丈夫?新型コロナじゃないよね?】
あ、そうか。もうすっかりそのことを忘れかけていたけど、今はまだそういうご時世だった。でも、コロナウイルスで言われるような高熱じゃないし、たぶんただの風邪だと思う。咳もないし。
【ただの風邪だって。微熱だし、咳もないしさ】
【ほんとに?】
本当に心配しているみたいだ。考えてみると、僕もヒナが生理のときに、おんなじような心配をしたっけ。
【ほんとだってば。急に寒くなったから、そのせいだと思う】
思い当たることを考えてみると、そのくらいだ。
【わかった。看病しようか?】
そう思ってくれるのは嬉しいけど。
【だいじょうぶ。それに、風邪をうつしたくないから】
それが、僕の正直な気持ちだった。それに、万が一だけど、コロナウイルスだったら、という気持ちもある。
【わかった。ゆっくり休んでね】
【うん。ありがと。ゆっくりするよ】
返事を返すと、身体がいよいよだるくなってきた。眠気もしてきたし、ちょっと寝よう。そのまま、眠気に身体を任せると、どんどん意識が遠のいていく。
目が覚めると、既に夕方になっていた。相変わらず外は寒そうだけど、眠る前にエアコンを暖房にしたから、部屋の中は暖かい。
ふと、スマホを見ると、ヒナからのメッセージがいくつも来ていた。
【ゆうちゃん、大丈夫?】
【まだ、寝てる?】
【ほんとに大丈夫だよね?】
などなど。僕はただの風邪だと思って、ゆっくり寝ていたけど、だいぶ心配をかけていたみたいで申し訳ない気持ちになる。
一応、熱を測ってみると、36.7℃まで下がっていて、風邪というか単に寝冷えしたくらいじゃないかと思う。
【おはよう、ヒナ。心配かけてごめん】
熱を測って、すぐにメッセージを返す。
【良かったー。全然返事来ないんだもん。心配しちゃった😿】
ヒナからの返事は素早かった。僕からのメッセージを今か今かと待っていたのだろうか。そんな気持ちが少し嬉しい。
【大丈夫だってば。熱も下がったし、単に寝冷えしただけみたい】
【そっか。ほんとに良かったよ。ゆうちゃんが、新型コロナにかかったらどうしようって、どんどん不安になってきてて……】
【心配かけちゃってごめん】
そんなやり取りを交わす。こういうとき、メッセージででも、こうしてヒナとやり取りできることを嬉しく思う。
その後、ツイッターをまた眺めていたのだけど、ツイッターで、中学教師を名乗る人による
「学校で三密を避けるのは不可能です。できるだけ、私たちも努力しますが、保証はできません」
というツイートが気になった。本当に大丈夫だろうか……。
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