第6話 貧と巨な同級生との遭遇
俺は一人でモール内にあるコーヒーショップで時間潰し中。いや、さすがに下着売り場には行けないって。なんで連れていこうとするのかね? はぁ。
「ごめん、待たせちゃった。中々欲しい柄で合うサイズが無くって……。あ、でも千秋君がさっき好きって言った色のも買ったよ?」
「そ、そうか……じゃあ次に行こうか」
だーかーらー! なんで俺にそんなこと言うのー!? 中々無いサイズって何!? いや、聞かないけどさ! 別に俺の好きな色買った報告とかいらないから! そういうのはいずれ出来るであろう彼氏に言えよ……。あれ? 地元に彼氏とかいないのか? いや、いるだろうな。こんだけ可愛いんだし。モテそうだもの。
「あ、私もちょっとコーヒー飲みたいな。いい?」
「あ、うん」
一宮は空いてる席に買い物袋を置くとまっすぐカウンターに向かって行き、しばらくすると両手にコーヒーを持って戻ってきた。
「えへへ。こういう所でコーヒー飲むのも憧れだったんだよね~」
「そうなのか?」
「うん。田舎だとこういうお店って車で一時間とか二時間走って大きな街まで行かないと無いから、コンビニのコーヒーで精一杯なの」
「そうなのか。どこにでもあると思ってたけど違うんだな」
「うん。それが普通になってるとそう思うかもね? 彼氏がいる友達とかは電車に乗ったりして行ってたみたいだけど、私は彼氏とか出来たことなかったし」
「へぇ」
ん? 彼氏いた事ないのか。あれかな? こんだけ可愛いと、高嶺の花で中々……みたいな感じなんだろうか?
あれ? もしかして俺に彼女が出来ないのもそれ!? ……んなわけないか。
そして取り留めもない様な事を話している内に二人ともカップが空になる。
「じゃあ、次は何買うんだ?」
「んと、化粧品とかシャンプーとかかな?」
「ならあっちにドラッグストアあるからそこでいいか」
「うん。ありがとね」
「大丈夫大丈夫。道は覚えた? ここなら大抵の物は揃うと思うし、これからは何か欲しいのあったらここに来ればいいと思うぞ」
「一緒に……来てくれないの?」
「……暇だったらな」
袖を掴むな上目遣いすな。
それからドラッグストアに行った後、ちょうど昼時って事もあってモール内のフードコートで昼食を摂ることにした。
俺はいつも食べてるラーメン。一宮は結構悩んだ結果パスタにした。理由は「テレビで見たことある~!」との事。めっちゃ目がキラキラしてたな。
そして呼び出しのブザーが鳴り、品物を取りに行くと横から声をかけられた。
「あれ? 八代君?」
「あ、ほんとだ。君も来てたのか」
学校でよく聞く、聞きなれた声。そこに居たのは、同級生の【
向かって右側にいるデニムワンピースにジャケットを羽織っていて、髪は少し茶色がかったロングヘアーにトロンとしたタレ目が特徴的なのが高校からの友人の沢渡。胸はまぁまぁ。
その隣にいる吊り目がちな目をしているクール系なのが九重。パンツスタイルにカーディガンを羽織った服装。そして黒髪をポニーテールにしている。コイツは中学からの幼なじみで、俺の友達の彼女でもある。巨乳。
二人ともモテる。守ってあげたい勢と、罵られたい勢がいる。ちなみに俺の友達は後者だった。押して押してしょうがなく付き合って貰ったって言ってるけど、何気にラブラブらしい。
「お、沢渡に九重じゃん。お前らも来てたのか」
「うん。冬子ちゃんと服とか買いに来てたの。八代君は?」
「俺は昨日から出来た同居人の買い出しに付き合ってるとこ。っても女物の買い物だから俺はほとんど荷物持ちと案内くらいしかしてないけどな。んじゃ、ラーメン伸びるからまたな」
「「……はい?」」
俺が隣合った二店舗からラーメンとパスタを受け取っておぼんに乗せたところでまた声がかかる。あ、やべ。びっくりしてラーメンのスープちょっとこぼれた。
「ちょ、ちょっと! 今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだが? 君はさっき【女物】って言ったよね? つまりその同居人は女性なのかい?」
「そ、そうだよっ! どっちなの!? それすっごく大事だよぉ!」
「んだよ。女だけど?」
「「女だけど?」じゃなくってだな……あぁもう!」
「と、冬子ちゃぁぁぁん……」
「よしよし、念の為に聞いておくけど、その女性は君の恋人か何かなのか?」
な、なんなんだよ……。俺に彼女とかいないのお前らはよく知ってんだろうが。嫌味かこんちくしょう!
「まさか。んなわけないだろうが。あーでも、かなり可愛い子だからモテるだろうな。だからすぐに彼氏とか出来そう。家に彼氏とか連れてこられたりしたらずっとペットボトルの口に息吹いてブォォォ! ってジャマするかもしれん」
「か、可愛いの!?」
「七海、今日はこの後私の家においで。ちょっと焦らないとダメかもね」
おいコラ。質問しといてなんで二人で話してんだよ。
「話は終わりか? 待ってるから俺は行くぞ?」
「え、あ、うん……」
「後で詳しく話は聞かせてもらうよ?」
「気が向いたらなぁ~」
そんな事を言いながら二人と別れて一宮の所に行くと、スマホを見ながら飯を待ってる姿が見えた。
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こちら、カクヨムコン応募作品になります。
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同時新連載のこちらもよろしくです!
勇者残業中!~魔王のせいで恋人も出来ないし仕事も終わらないからちょっと倒してくるわ~
https://kakuyomu.jp/works/1177354055057815551/episodes/1177354055057819247
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