第13話 絶対に手を出さない宣言!
着替えてリビングに戻ると、何故か母さんと美月さんはニコニコしていて、一宮は美月さんの隣に椅子に座り、顔を両手で覆っていた。何があった?
「千秋、こっちは座りなさい」
「あ、うん」
そうして俺は母さんの隣に腰を下ろす。ちょうど向かいが一宮だ。だけど顔は見れない。
「さて、千秋。一応簡単に説明するけど、美月さんは香月ちゃんがここに住むことをちゃんと承諾してくれたわ。私達を信用してね。 それで、近いうちに香月ちゃんの私物が送られて来るから、あんたはそれを運んだりするのを手伝ってちょうだい。後、生活費の方も毎月振り込んでくれる事になったからお金の心配はしない事。あんた子供の癖に変に細かいところあるから一応言っておかないとね。ここまではおっけー?」
「ん、わかった。信用を裏切るような事はしないよ」
「よし。あとは大人同士の話だから、特にあんたに話すような事はないわね。まぁ、後で何か言うかもしれないけど。それで──美月さんからは何かありますか?」
俺は母さんに向けていた視線を美月さんに向ける。すると、美月さんはゆっくりと頭を下げてこう言った。
「千秋君。さっきも言ったけど、娘に声をかけてくれて本当に、本当にありがとうございます。もし、千秋君が香月の事に気付いてくれなくて何かあったらと思うと、いくら感謝しても足りません。元はと言えば、情けない事ですが私達家族が香月を支え切れなかったことが原因で家出してしまったのに、こんな事を頼むのは失礼かもしれません。ですが、あの家にいたらきっとまた同じ事を繰り返すと思うんです。父親の事は私がなんとかします。ですので、どうか香月の事をよろしくお願い致します。ここでこの子の夢を追いかけさてください」
嗚咽混じりの声。いまだに顔は下げたまま。
だけど、テーブルの上にポタリと落ちる雫で泣いているのがわかる。一宮も隣で一緒に頭を下げて涙を流している。
俺はまだ子供だからわからないけど、親としての何かがあるんだろう。本当はこのまま帰るのも不安で仕方がないはず。
なら俺は、少しでもその不安を減らす為に頑張ろう。
「あの、二人とも顔を上げてください。俺がやったのは、頼まれてもいないのに勝手に自分でやった、ただのお節介です。そして、自分で勝手にやった事だからこそ、ちゃんと責任持って一宮──いや、香月さんの夢に協力しますよ」
「ありがとうございます……」
「千秋君……ありがとう……」
そう言って顔を上げた二人の目は少し赤くなっていた。
母さんは俺の隣で、目の前の二人みたいに泣きながら、「私の息子超カッコイイっ!」って小さく呟きながらガッツポーズしてる。やめれ。
さて、ここで更にちゃんと安心させないと。
「あと、俺みたいに男がいる所に娘さんを預けるのは不安かもしれませんけど大丈夫です。確かに香月さんは綺麗で可愛いですが、新しい家族の様に接します。異性として見る事が無いように気をつけます。 新しくカギを付けたりして、母さんもそこはちゃんと気を付けてくれると思います。だから安心してください。 絶対に大事な娘さんに手出ししません」
よし、これだけはっきり宣言すれば大丈夫だろう。
「「「…………」」」
ん? なんだ? おい一宮、なんでそんな白目むきそうになってんだ? ここは安心するところだろ。美月さんもなんで固まってんの?
母さんは……ヒィヒィ言いながら笑うの我慢しすぎて痙攣してるな……。何故だ?
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