第20話

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「田中さん、あなたは今幾分か気分が乱れて混乱されているかもしれませんが、それでも僕が九州の大分で知った全ての事実を帰りの新幹線で組み立てていた時のような混乱なんてもんじゃないでしょう。

 あなたは、全ての謎をはじめから知っている『犯人』です。そうまるで劇を作り上げる脚本家のようにあなたは最初から全てを知っているのです。

 しかしながら僕はこの事件の依頼を受けた依頼主である蓮池法主の為に、事件を整理立てて報告しなければなりません。

 なに…田中さん、何もそんなに固くならないで下さい。さぁ胡坐をかいて、もしよければビールでもお注ぎしましょう。

 そうです。そうやって楽にして下さい。

 では今から僕が帰りの新幹線で組み立てたこの事件のいきさつや背景、そしてあなたが犯した犯罪を話します。

 もし何か違う点があれば、その時申し出てください。二人で共に事件の事について知り尽くすことはあの『三四郎』の時と同じように大事です。

 では、始めましょう」

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