未知との遭遇をしてしまった
次に目が覚めた時、俺の全身は強烈な光に照らされていた。十二月なので全身厚着をしてはいるが、顔だけはむき出しなので、光に照らされた顔がジリジリと熱い。
「目を覚ましたか、
どこからか、甲高い声が聞こえる。
女の子?
よく響く声。若いな、十代くらいか?
というか、なんで俺の名前を知ってるんだ?
なんで初対面なのに呼び捨てなんだ。
だんだん意識がはっきりとしてくる。
ぼんやりしながら周囲を見渡すと、自分が椅子のようなものに縛り付けられていることが分かった。
えー、何これ、犯罪?
「私はクサビ。宇宙人だ!」
戸惑う俺に向かって再び放たれたその声と同時に、俺の全身を照らしていた光が弱まり、視界に三人の人影が映る。
少しして目が慣れると、そこには三人の少女が立っていた。
やはり若い、高校生くらいか。
それにしては洒落っ気がない地味な服装……映画で見る軍隊の制服みたいな。
先ほどクサビと名乗った活発そうな少女が真ん中に立っており、その横に二人の少女が並んでいた。
どう見てもその辺にいる地球の女子高生だが、さっきこいつらは自分のことを宇宙人だと、そう言った。
ここで考えられるパターンは二つ。
宇宙人の名を騙った地球人の犯罪行為か、もしくは本物の宇宙人が地球人に擬態してコンタクトして来ているか。
個人的には後者であって欲しい。いや、むしろそうあるべきだと思う。その方が興奮する。
しかし、現状どちらであるかの判断はしかねる。
とにかく情報が必要だ。
「えっと……君達は?」
「我々は君たちがM78星雲と呼ぶ所にある惑星からやってきた」
さっきと同じ甲高い声。その声の主は真ん中の子……クサビだ。偉そうな笑みを浮かべているのが無性に腹立たしい。
つうか、まじですか。M78星雲? この三人はひょっとしてウルトラな方々だったりするのだろうか。
いやいや、しかし……。
「M78星雲はたしか生物なんか住めない所だったと思うんだけど……」
そう言いかけたところで、馬鹿にしたような顔をされた。なんだろう、かなり腹立たしい。
「地球人の天体観測技術なんか我々から見れば子供のお遊びレベル! そんな程度で宇宙の全てを知ったつもりか!?」
確かに、天体観測に限らず科学や技術、歴史の解明はまだまだ途中。日進月歩だが……ここまでボロクソに言われるのは腹が立つな。
自分が関わっている訳では無いにしろ、だ。
「じゃ、じゃあ君達が宇宙人だっていう証拠は!? 何かあるのか!?」
「そうですね、証拠と言うならば……」
今度は向かって右側の子が口を開いた。眼鏡をかけた、黒いロングヘアーの少女だ。
「これをお見せするのが一番早いでしょう」
その言葉をきっかけに、三人の女の子の体がメキメキと音を立て、変形していく。
その姿は、地球上ではおよそ目にしたことの無いような、超グロテスクな……。
その異様な姿に俺は思わず笑みを浮かべてしまう。
アッ……いいっ……!!
ちょっと興奮してきた。
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