大怪獣クリメラ
怪獣を作ろう
「さぁっ、気になる侵略作戦第一号はー?」
「第一号はー?」
「怪獣を作るぞー、いえーい」
「いえーい」
侵略者三人の前に立って計画を発表する俺と、それを囃し立てるクサビとアカナ。
その光景を見て思うことは。
「なんだ、このノリ」
「急に冷静になるな!」
「そうですよ、やらせといて!」
「いや、別にやらせた訳じゃないしなぁ」
ちょっとふざけたら勝手に乗っかって来ただけだし。
「まあそれは置いといて」
「置いといて」
「怪獣を作るぞー」
「まだちょっと残ってるぞ!」
重大な計画の発表は、特に驚きもなく受け入れられた。
少々肩透かしを食らった気分だが、まあ反対されるよりはずっとマシだろう。
こうして、侵略者一同は怪獣作りに勤しむことになる。
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「大丈夫か? あいつに任せて」
「まああんなだけど、腕は一流だから」
「漫画っぽいセリフだな」
早速、怪獣作りのプランをその日のうちにざっくりと作ってみた。
ざっくりというかただ大まかに考えただけの雑な雑だが。
俺が怪獣の大体の部分を設計し、アカナが自分たちの技術で実現するため都合のいいように改良、ジキがそれを元に怪獣の体を作る。クサビは力があるのでジキの手伝いである。
つまるところ、最も労働量が多いのがジルになる訳だが。
「美味いか? それ」
当の本人は、アカナが設計図を書き直すのを待つ間、ひたすら棒付きキャンディをしゃぶっている。
「そりゃもう」
こいつ、そりゃもうとか言うのか。
ジキは最近、地球の食べ物がお気に入りらしい。
引越し以来我が家にはカップ麺が大量にストックされている。
「暇そうだなぁ」
「ベースの素材は決めたから。設計図が出るまでは暇」
「ていうかこの怪獣面倒くさすぎるんですよっ!!」
ジキと一緒に暇を持て余そうとしていると、隣のテーブルのアカナからクレームを頂戴した。
「効率悪いし頭悪いし、直すところだらけなんですから」
「そりゃ俺はお前らの技術なんか知らんからなぁ」
「クサビ、やっぱりこの人と協力するのやめましょう! 記憶消してその辺に放り出して」
「やめろ! 引越しまでしたんだぞ!」
「まあまあ、私たちだけじゃ地球人の社会のこととか何も分からないし……な?」
「あー、もうやめたいですゲームしたいです」
アカナがうじうじと文句を垂れ流す横で、クサビが頭が弱いなりにリーダーらしくフォローを入れてくれる。
「頭が弱いとはなんだ!」
おっと、心の声が。
しまったと思う暇もなく、窓の外に体が放り出されていた。
どんなアトラクションでも味わうことの出来ない浮遊感。
割れたガラスは、宇宙の技術で元に戻るのだろうか。
薄れる意識の中で、様々なことがしょうもないことから順番に頭に浮かぶ。
あー、どうか無事に目覚められますように。
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