準備完了
「まず何をもって地球侵略を達成したとするか、だ」
俺が切り出すと、真っ先にクサビが口を開いた。
「逆らう奴を全員倒す」
「馬鹿ですか。政権を取るとか経済を支配するとかもう少し文明的な回答があるでしょ」
「いや、この場合はクサビが正しい」
アカナびっくり、クサビガッツポーズ。ジキは最初から無関心。クリメラJrは部屋の隅で寝ている。
「つまりな、政権を抑えるにしてもなんにしても、究極は精神的に屈服させるのが一番だろうと思うんだ。武力制圧もその手段のひとつになる」
「しかしそういう支配は後々反乱を引き起こすでしょう」
「それを抑えるのは統治する奴の仕事。俺たちのやることは侵略してお前らの上司なりなんなりに引き渡す所まで」
こいつらの目的は本国……この場合は本星とでもいうべきか、とにかく上の力を借りずに自分たちだけで侵略を達成し、上や故郷の連中を見返してやることだ。それなら後の支配のことなど考えずに全人類を精神的に屈服させるだけでいい。
もちろん草も生えない焦土にしてしまっては意味が無いので、武力制圧だけでなく様々な手段を用いて植民地化する必要があるが。
「そのためにまずは怪人だな!」
武力制圧に乗り気なクサビが、元気いっぱいに答えてくれる。
幼児くらいの単純な思考回路なので話が早くていい。
「誰が幼児だ!!」
おっと、口に出してた。
ガラス窓を二度も三度も突き破るのは御免こうむりたい。
「まず、クリメラには県庁とショッピングモール、それから倉庫なんかを破壊してもらう」
「倉庫?」
「人間を襲うことよりも、社会の機能をストップさせることを優先するんだ。行政やインフラ、流通を徐々に麻痺させて混乱を生じさせる。まああんまりやりすぎると俺たちも生活できなくなるから、家を様子を見ながら段階を決めよう」
俺の説明に大体納得したのか、アカナもそれ以上は異論を挟んで来なかった。
「クサビにはクリメラの後方支援を頼む」
「後詰めか!」
「おう、これ使え」
と、取り出しましたるは、以前少しだけ触れたジキの発明品にござい。
見た目はゴツゴツとした缶詰めといったところ。
一方クサビの服装はいつものジャージ。
うん、まあ大丈夫だろう。
「なんだこれ?」
「これを放り投げるとだな」
「うおっ!?」
缶詰めが瞬時にガシャガシャと展開し、クサビごと光に包まれたかと思うと、次の瞬間には鎧が装着されていた。
「おお……」
「これは……なんと言うか」
ジャージの上から、シルバーを基調としたビキニアーマーのような装甲を纏うクサビ。
その姿は、ひどく
「滑稽だな」
顎が痛いっ!
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