ロボット・コントロール

「グランダー、発進!!」


 いやー、我ながら馬鹿馬鹿しい。

 馬鹿馬鹿しいが一度言ってみたかったんだよな、こういうの。

 クリメラの時と同じように、空にはぽっかりと穴が開き、そこから巨大なロボが降臨する。

 いやー、絶景。

 全男子の憧れ、スーパーロボットだ。

 しかし惜しむらくは


「余計なこと言わないでください、ただでさえややこしいんです」


 操縦者が俺ではないということだ。

 宇宙人の技術を使いこなせない俺ではなく、アカナがゲームのコントローラーを五倍ほど複雑にしたようなリモコンで操縦している。

 しかもコントローラーはコントローラーでもアケコン型。

 最近オンラインの格ゲーをやっているのをよく見かけたが、このリモコンの形にもアカナから注文をつけたのだろうか。

 このところ俺が持っているソフトだけでは飽き足らず、俺のカードで黙ってダウンロード版のソフトをいくつも買っていた。

 それを見つけて叱り飛ばしたら、口座残高が元々の金額の十倍になっていた。

 今までで一番宇宙人が怖いと思った瞬間だ。


「私が……私がやらないと」

「お、おい、あんまり緊張するなよ?」

「緊張しますよ!私にかかってるんですよ?」

「そもそもなんでお前が」

「私だけ目に見える成果が無いからですが何か!?」


 クサビはこの間のシュラフ撃退、ジキはクリメラやグランダーの制作という形で成果を上げているのに対し、自分の仕事が「設計図の修正」だけと言うことが不満だったらしい。

 目立ちはしないが重要な仕事……と言っても聞く耳を持つはずがなく。


「大丈夫です、こういうの慣れてます。ゲームと一緒ですよ!」

「待て、その思考は非常に危ない」


 やや危うさを孕んだ状態で、それでももう地上に降り立ってしまったグランダーを引っ込めることも出来ない。

 横で騒ぎながら見ていることしか出来ないのはやや歯痒いが、もう俺に出来ることはほとんどないだろう。

 色々と指示を出したいが、あまり言いすぎるとパニックを起こすし。


 ちなみに、この場にいないクサビは、大小二点作戦のために既に配置に着いている。

 確認はしていないが、そろそろ暴れだしている頃合かもしれない。

 俺は今回クサビではなく、部屋でアカナと共に待機だ。前回と違ってクサビは最前線なので俺は邪魔になるだけだからな。

 ジキは疲れて寝ている。

 グランダーに異常が起こらない限りすることもないので、ゆっくり休ませておいてやろう。


「出たな、お邪魔虫!」


 アカナが悪役らしいセリフを叫ぶ。

 俺昔そいつ応援してたよ、うん。

 いっつも負けるんだけど。


 モニター越しにヒーローことシュラフの姿を確認。

 ビルと同じくらいの大きさになっている所を見るに、クサビの方は放置でグランダーに対処するつもりらしい。

 いいぞ、作戦通りだ。


 さあ、侵略作戦第三号開始だ!

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