もうね、ミュゲ書房の素敵空間に憧憬の念を抱きっぱなしでした。
楽器屋のトランペットをショーケース越しに眺める少年並みにキラキラの瞳で、物語を読み進めておりました。
こんな素敵な本屋さんあったら、週8で通います。爽やかカフェマスターと選書してくれるJKときゃわいい幼女がいる時点で、週6は確定です。なんて本への愛に溢れた素敵空間なのでしょう。
物語の構成も、素晴らしいの一言でございました。
正直、某丸山社のくだりとか、ムカムカヤキモキもしましたけど、全部読んでみれば、痛快なエンタメドラマに仕上がっておりました。
さらには、本づくりの過程や、書店への流通事情、出版業界のぶっちゃけたあれこれなど……色々と勉強になりました。
作者さまの読書遍歴の深さと幅広さにも、感嘆するばかりでございました。しろくまちゃんのホットケーキ、ほんと美味しそうですよねぇ……。
書籍化に関しては、作者様自身、非常に苦しい経験をなさったことと思いますが、その経験をこのような物語にメタモルフォーゼさせられる行動力と発想力は、本当に凄いと思います。読んだ後に、「あー、私もなにか行動を起こさないと!」という、ポジティブモチベーションを与えてくれました。
とりあえず、私も近所にあるひなびた喫茶店を、思い切ってミュゲ書房みたく改装してやりたい気分です。
まずは、本に詳しい美少女JKと、幼女を確保することから始めないとな!
(色々と間違った行動力を発揮)
大手出版社に勤めながら、編集部のやり方に疑問を持ち、退職した主人公。
祖父が営んでいた地方の書店を譲り受け、そこで地元の人たちと触れ合ううちに、自信を取り戻していく、ほのぼのした物語……かと思いきや。
後半、ある登場人物の告白により、ラストに向けて加速的に展開していきます。
紅白見ながら読んでたんですけどね、気づいたら紅白終わってましたね。
もうミュゲですよ、こっちに夢中です。手に汗握る攻防とこんちくしょうな悪役にスマホも吹っ飛びます。
正攻法での逆襲劇、弱小企業が大手に一撃かます物語でした。
利益重視の企業体質と職人魂のぶつかり合いの結末はいかに!!
カクヨム利用者、本が好きな人、出版に興味がある、現代ドラマが好き、いろんな人に刺さる物語です。
作家になる人とはどういう人だろう?
そう考えたことはないだろうか。
お話を書くのが好きで、必死に書き続けていれば作家になれるのか?
才能のある一握りの人だけが作家になれるのか?
市場の動きを見て、需要に合わせたものを書いていれば作家になれるのか?
現状を見て答えを出すならば「需要に対する供給ができる人」ということになるだろう。
だが、それは本当に自分の書きたいものだろうか?
このストーリーは、コンテストの大賞受賞者がその受賞作を「レーベルのカラーに合わせた形で書き換えろ」と編集者から指示されるところからスタートする。
『大賞を受賞した』にもかかわらず、その作品の良さを全部葬り、流行りのカラーに塗り替えることでしか書籍化はできないという。
なかなかレーベルの思惑通りに書き換えない作者に業を煮やした編集者は、『出版を諦めさせる前提で』読みもしない全改稿を何度も強いる。
その結果、作家は時間と労力を無駄に浪費して自信を無くし、書籍化を諦める。
『書籍化失敗』というレッテルは出版社には何の痛手もないが、作家にとっては致命傷となる。華々しいデビューのはずが、『失敗作家』の肩書を背負ってしまうのだ。
と、ここまではストーリーの冒頭部分。ここからいろいろな人達が関わって物語が展開していくのだが……。
ここに出てくる「作家の卵」はまだ孵化していない卵でありながら、作家としての矜持を体の真ん中に持っている。それはどんな仕打ちにあっても絶対に揺るぐことが無い。
「いつも新しいものを書いていたい」という創作欲、そして知らないことをどんどん自分から吸収しようと動く行動力、酷い扱いを受けてもへこたれない強靭な精神力。
何よりも「絶対に作家になってやる」という強い意志。
作家になる人と言うのはこういう人なのではないだろうか。
少し書いてすぐ満足してしまっていないか?
ちょっと調べてわかったつもりになっていないか?
評価が得られず大袈裟に落ち込んでいないか?
この「作家の卵」から教わることはたくさんある。
「へ~」と簡単に読み進めるには勿体ないほどの内容だ。
作家になりたいと思っている人こそ、ここに書かれているたくさんの重要なメッセージを一つ一つ大切に読み込むべきだろう。
さて、私が個人的に好きなシーンがある。
選書するシーンがあるのだが、ハラハラする中にもちょっとしたオアシスのようなホッとできる空間として差し込まれているのがありがたい。
子供たちに読み聞かせするシーンなどもあり、誰もが小さい頃に一度は手にしたであろう絵本が出て来て、ちょっと童心に帰れるのも本書の魅力の一つだろう。
そして、書籍化を経験したことのない人にはワクワクするような描写がこれでもかと詰め込まれている。
一冊の本を作るためにどれだけの人が関り、どんな風に仕事が流れて行くのか。どうやって自分の本が流通に乗るのか。
そういったことも丁寧に書かれているので、興味のある人は是非とも読んで欲しい内容になっている。
とにかく私から言えることは「面白いから読め!」これだけだ。
全力でおススメする! みんな読め!!
ものを書く人。自分の書いたものが本になる場面を夢見ている人。
そして、本を愛する全ての人に是非読んで欲しい、大変刺激的な作品です。
大手出版社である丸山出版の主催するコンテストで、作品『リベンジ』が大賞を受賞した新人作家、広川滉太。作品の書籍化に際し、レーベルのカラーに合わせるために編集者から「ノンストレスのライトノベル」という方向への強引な改稿を求められる。
コンテストの審査の際に広川の作品を強く推した編集者の宮本章は、広川の作品の出版のためにできる限り力を尽くす。しかし、傲慢で強引な編集長らに阻まれ、それを叶えることができなかった。
大賞受賞作は書籍化を確約されていたにも関わらず、『リベンジ』は再三の改稿作業の末、結局書籍化を打ち切られ——。
その後広川は、丸山出版の運営する小説投稿サイトからアカウントを消し、消息を絶つ。その事態に強く責任を感じた宮本は、丸山出版を辞職することを決意する。
——若くして大手出版社を辞職し、北海道の祖父母が営んでいた小さな書店『ミュゲ書房』を継いだ元編集者と、突出した才能を持ちながら苦い思いを味わった若い作家。彼らの熱い「リベンジ」が、ここから始まります。
「作品を書く」ことと、「その作品を売る」ことの間に広がっている、巨大な溝。書く側の心情と、それを売る側の思惑。そのずれがいかに大きいか。
そして、作家と出版社がどういう「力関係」で仕事をしているのか。
これらの驚くべき現実を、この物語は非常に詳細に描き出しています。
心身をすり減らして物語を書くことの重み。大切なメッセージを読み手に届けたいという作家の願い。その価値を誰よりも理解し、作家とその作品を大切に取り扱うのが出版社、編集者の仕事のはずでは?……そんな強い疑問が胸に浮かびます。
そして、この物語が最も強く訴えかけていることは——
素晴らしい作品は、どこにあっても必ず輝く。たとえどんなに目立たない世間の隅っこに置かれていたとしても、必ず読む者を惹きつけ、やがて必ず多くの人を引き寄せる。そういう真実です。
そんな強力なメッセージが、物を書く人間にとって何よりも大きなエールとなって胸に響きます。
作家と作品への深い愛情を決して手放すことのなかった元編集者と、困難や妨害に決して屈することなくパワフルに前進していく作家の、胸のすくようなリベンジの物語。
一人でも多くの方に読んでいただきたい、素晴らしい物語です。
「丁寧に本を作って、その本を売るためのしかるべき努力をする」
この一行に、すべてが集約された物語です。
主人公の章は、ある新人賞を受賞した作家の卵の作品をめぐって編集長と衝突、出版社を辞めます。そして辿り着いたのが、祖父が北海道のA市でやっていたミュゲ書房。
ここが彼の再生とリベンジの舞台でした。
作品の中に盛り込まれているのは、「個人で書店を経営する難しさ」、「作者の宝物である作品を生かして編集し、一冊の本にする煩雑な工程」、「その本を売るための出版業界の掟」、それをこの作品は一つの面白いストーリーとして描き出します。
それはまさに、この作者さまとシンクロしているような物語です。第3回のカクヨムコンで受賞しながらも出版を断念した思いを昇華し、すべてを小説として書いたよう。
小説を書く者なら知っておきたい、受賞からの流れ、その難しさの全てが骨太のストーリーとして、面白い小説になっています。
カクヨムにアカウントを持つ、自分の本を夢みるあなたに読んで頂きたい作品です。
是非にも、一読を!
間違いなく、書籍化を目指す方ならば読んでおくべき作品です。
特に、かつて担当編集者のついたことがある人ならば、大なり小なり胸に突き刺さるものがあるでしょう。
言うまでもないことですが、作家になるということは簡単なことではありません。本を出すとなればさらに難しくなります。文藝編集者もまた、少しでも会社の利益となる作品を出す必要があり、それゆえに、作品の選定も手直しも厳しいものとなります。
そうであっても、首を傾げざるを得ない現実があります。
出版社のほうにも、慢性的に続く出版不況など様々な事情はあるでしょう。しかし、「数打ちゃ当たる」とばかりに新人作家の濫獲が行なわれているという事実もあるのです。
その上、「濫獲」と言っても、必ずしも出版されるというわけではありません。
受賞した、出版の打診が来た、などという話はよく耳にします。しかし、「出版する『かもしれない』から」という理由で、何ヶ月も、あるいは何年も改稿をさせられ、結局のところ出版できないという事例はよくあります。
それどころか、本当に実力があるにも拘らず切られることでさえもあります。
作者さんもまた、そのような事例に巻き込まれた方の一人でした(そして私もまた)。
本作は、この問題を重要なテーマの一つとして据えつつ進んでゆきます。
主人公は若い文藝編集者・宮本章。物語冒頭、彼はある新人作家の作品を書籍化させるために奔走します。しかしながら、全面的な改稿を何度も行わせたにも拘らず、編集部長の方針により出版できませんでした。
失意のうちに章は会社を辞め、実家へと帰ってきます。そこで受け継いだのは、祖父が遺した小さな書店『ミュゲ書房』でした。
『ミュゲ書房』は、同時に小さな出版社でもありました。物語はやがて、文藝編集者としての章の再生へ向けて動いてゆきます。
本作は「出版」というものの現実を扱っているがゆえに、造本から流通までの詳細が丁寧に書かれています。作者さんが勉強熱心だったこともあるのでしょうが、これだけのことを調べ上げ、退屈させることなく簡潔に書く力量は並大抵のものではありません。
また、先ほど述べた、本作を一貫するテーマについて、一定の解決策を提示している点もこの作品の価値を高めています。
はたして主人公は文藝編集者として再生できるのか? 踏みにじられた新人作家の心情は? 読み進めるうちに、彼ら・彼女らの心情が自らの心情と重なってきます。そうなると、読む手はもう止まりません。登場人物たちの口惜しさに心を痛めつつ、敵役の報復にハラハラしつつ、はたしてこの「リベンジ」が上手くいくのか、上手くいってほしいと祈りつつ読んでしまいます。
濫獲された新人たちのゴミ箱。
その中は、もう満杯となってしまっています。しかしその中には、間違いなく宝物が捨てられていました。そんな宝物の姿、そして再生と共に成長した文藝編集者の姿とは?
ぜひ、みなさんお手に取って下さい。
オレンジ11様の描く人間ドラマがいかに人を惹きつけるかは、もう他の多数のレビュワーさんがお書きになっているところです。
いつ読んでも無理のない文体と文の構成は、御本人がエッセイなどでお書きの通り、並ならぬ配慮と推敲があってこそ、と。取材に基づく揺るぎないリアリティも、その確固たるものに一書き手の立場では自分の書き方が恥ずかしくなるほどです。
個人的には、書き手として、読み手として、本や物を書くことに向き合った今までの記憶がぶわっと湧き上がりました。
出てくる作品たち。懐かしい作品、手にとって装丁にため息をついた本。汚したくなくてそっとしまった記憶。
実際の本も盛り込まれ、本当に本屋さんにいるみたい。
そして公私両面で、文章を書くとき第三者の間で生じる軋轢。妥協と、相乗効果の両側面。多くの方が経験おありでしょう。仕事や、旧くは作文などで。
だからこそ主人公章くんの辞めた会社に顔をしかめ、ミュゲ書房の章くんの元で書きたい、と思わせるのです。
そして、とても個人的な感想です。
暖かい日差しを感じながらゆっくり本を読む時間を、思い出させてくれるような雰囲気を作品全体から感じるのです。珈琲の香りがして、木の机の上に大好きな本を広げて読むのです。
読了後、感じました。
これは本に対する自分の記憶や気持ちを改めて気づかせてくれるお話。
芸術は普段の現実で隠れているものに目を向けてくれるものと言います。ゴッホの絵にある靴のように。
同じように、普段気に留めていなかった思いが浮かび上がる。このミュゲ書房で。
自分の作品が書籍として出版される。
ここカクヨムで作品を発表している創作人の中には、それを目標としている方も多いでしょう。
本作は、そうした方には特に深く刺さる物語です。
自分が担当していたWeb作品の書籍化に失敗した、ラノベ編集者の主人公。
勤めていた出版社を退職して継いだ祖父母の書店『ミュゲ書房』で、なんとその作品『リベンジ』の作者と運命の再会を果たします。
二人は今度こそ『リベンジ』を書籍化しようと動き始め——
「本を創る」ということは、一体どういうことなのか。
「物語」を生み出す創作者。
「商品」を売り出す出版社。
信念と、愛着と、利害と。
何を取り、何を捨てるのか、はたまたどこで折り合うか。
一冊の本を創って売るのにも、多くの人が関わっているのだということがよく分かります。
本作には書店の経営事情や出版に際した契約関係のことも丁寧に書かれており、分かりやすい上に読み応えがあって非常に面白いです。
一度は挫折し、多くの人の力を得て再び目指す夢だからこそ、この『リベンジ』は必ず成し遂げなくてはならない。
その想いが胸に沁み、目頭が熱くなります。
作者様の過去作『市長の恋』の佐伯市長や山田さんも登場し、同作のファンにも嬉しい仕様。
現在、物語は佳境を迎えています。最後まで心して彼らの『リベンジ』を見届けたいと思います!
これは第35話「メール」を読了した時点でのお勧めになります。
ですが、ここまで読んだだけでも、自信をもってお勧めできます!
それだけ凄い「大ピンチ」を中盤クライマックスで見せつけられてしまいました。
ただの大ピンチなら、よくあります。
でも、ここまで「良いことばかり」の大ピンチは見たことがありません!!
本作は、ある編集者とアマチュア作家の挫折とリベンジの物語です。
どこかで聞いたような名前の小説投稿サイトのコンテストで大賞を取った小説『リベンジ』。しかし、その作風がレーベルに合わず、編集長の判断で書籍化が中止されます。『リベンジ』を推した編集者である主人公は、書籍化中止の同時にサイトから消えて行方をくらませてしまった作家に申し訳ないと思い、大手出版社をやめて国に帰ります。
そして、国元で祖父母が営んでいた小さな書店の店主として再出発しますが、そこで多くの人々に出会い、書店として専門書の出版まで手がけるようになります。
そこで、偶然にも作家と再会し、今度は自分の書店で『リベンジ』の出版を手がけようとします。この作家との再会も衝撃的なので、注目です!
そして、いざ出版秒読みとなったところで、突然「大ピンチ」が襲ってくるのです。これが本当に作家にとっても、主人公にとっても「良いことばかり」の内容なんです。でも、主人公たちとしては、正に「大ピンチ」です。この内容はぜひ作中で読んでください。私は思いっ切り痺れました!
この「大ピンチ」がどうなっていくのか、続きが楽しみでなりません。今から読み始めてもリアルタイムで楽しめるはずです。ぜひぜひ、読み始めてください!
さて、ここから、さらに物語を楽しむためのバックグラウンドについて少し補足しましょう。
本作の作者様は、実は前回のカクヨムコンにおいて『市長の恋』という作品で特別賞を受賞しています。本作にも『市長の恋』の主人公や主要キャラが重要な役割で出演しています。
ところが『市長の恋』は書籍化できませんでした。その事情については作者様が一切書いていません。しかし、本作の内容から、ある程度は推測できます。
むろん、本作はフィクションですが、作者様の体験が多く反映されているはずです。
作者様は本作で今回のカクヨムコンに参加する経緯をエッセイにも書いていますが、そちらのエッセイのキャッチコピーが「えっ、また参加するの? 書籍化失敗したのに?」です。
私は、つい先ほどまで、これは実にキャッチーなコピーだなとしか思っていませんでした。
しかし、この第35話を読んで、そうではなかったことに気付いたんです。
カクヨムコンの規定において、「特別賞」は「書籍化検討」です。
これに対して「大賞」は「賞金+書籍化」です。「検討」が無いんです。書籍化「確約」なんです。
私は確信しました。
本気で今度こそ「大賞」を獲りに来た! と。
メッセージ性の高い物語は数多くありますが、大抵は実体験が辛く、隠してしまいがちなので、不燃焼になります。
しかし、この作品は違う。
作者が痛みから逃げず、覚えている全てをぶつけて書いています。
「書籍化」という憧憬を持ち、誰もが目指す頂点へ、走っています。
でも、手をかすめることもあるんです。
それが冒頭にて既に書かれているライトノベル作家。そしてなんとかしてあげたくても出来なかった担当のメールなどがリアルに迫っています。
こういう物語をしっかりと読んでください。かなりの良作です。
本の良さに「自分が経験できるはずがないことを、手にできる」というものがあります。実体験だけではなく、こんどは「ミュゲ書房」の立ち上げを通し、色々な流通を練っていく。合間も、消えた作家のことを想いつつ……。
時代の変革を見つつ、自分の想いも昇華しながら読ませる物語に仕立て上げる。
これは、なかなかできないことです。
悔しかった想い、嬉しかった想い、それでも書籍や物語を愛する想いはみな、同じですよね。
ちょっと泣きました。そして縁の下で頑張る皆様の努力も、書き手は知らなければなりません。一人では書籍化は為りえない。
――この作品を強く推していきたいと思います。皆さん、是非お読みください。
作者さま、頑張ってくださいね。
失意の果て出版社を退職した元編集者の章。
故郷にて祖父の書店「ミュゲ書房」に関わっていくことに……。
連載中「第28話 ソウサクの仲間たち」読了時点のレビューとなります。
地域の人たちと共に「ミュゲ書房」を盛り立てていく主人公・章。
常連や市長、読書家の女子高生・桃……さまざまな登場人物が各々の役割をもって生き生きと描かれています。
現在、地方で書店を商うことは大変厳い状況です。
けれどその中には自由もあり喜びもあります、それらを感じさせてくれます。
そして、章の心に深く傷を残しているある大賞受賞者を巡る出来事。
物語の発端であり、核ともなるこの問題は、作品中一貫して描かれており、読者にその過去を適切に思い出させます。
そうして終着する未来はきっと誰もが納得する結末なのであろうと期待させてくれます。
ここからエピローグまでの後半も楽しみにしております。
最後まで執筆がんばってください!^-^
キャッチコピーからもあるとおり、書籍化中止から着想を得たフィクションです。
作者様は第3回カクヨムコンで受賞されたけど、書籍化にはならなかった経歴を持ちます。
ある出来事を機に出版社を退職した主人公。この出来事は作者様以外には書けないでしょう。
祖父の書店に関わることになり、大きく物語が展開していきます。わくわくの予感です。
文書うまく読みやすいです
編集者とのやりとり、リアリティあります。
書店についても詳しく調査されてます。
シリアスストーリー好きなかた必見。
自伝、市町の提案とストーリーは色々膨らみます。
意外な展開あります。
リベンジは色んな意味を含んでます。わたしとしては、作者様のリベンジになっていただきたいです!
第5回のカクヨムコン受賞作品、早くも決定!?
思い砕かれて出版社を退社した、若き編集マン。社会人としての体裁か、編集マンとしての情熱か。煮え切らないままに任されることになった、祖父経営の「ミュゲ書房」の店仕舞。
しかしミュゲ書房は一風変わった経営をしており、常連さんも一癖もある人ばかり。
そして持ちかけられる、「自伝を出版してみないかーー」
自分の人生とどう向き合うか、そんな葛藤を胸に、主人公はどんな明日を選択するのだろうか。
徹底的な調査と自身の経験を見事に昇華させた内容は、見事の一言。読みやすく繊細な筆致で、ぐいぐいと物語に引き込んでいきます。
特別賞受賞の実力派作家が贈る、圧巻のフューマンドラマ。
出版業界に興味がある方なら絶対チェックです!
作家との確執のために出版社をやめた元編集者の若者が、地方にある個人経営の書店を再開させるお話です。
出口が見えない出版不況と業界の闇の関係。
才能ある作家が潰されてしまう原因。
この作家さんはもしかしてあなたかもしれません。
元司書のおじいさんがつくった書店は、本好きならば一度は訪ねてみたいと思うーー書店員なら「こんなお店で働きたい!」と思うお店でした。
『ミュゲ書房』はたいせつなことを教えてくれます。
ぜひ紙の本で!(できるなら文庫でなくてハードカバーの単行本で!)じっくりと読みたいと思える作品です。
スズランの花言葉は……
本屋に行って調べます。
北国の書店「ミュゲ書房」を舞台にした物語。
端正で清潔な香りのする筆致で描き出されているのは、出版や書店を取り巻く厳しい現実、そして主人公の挫折と再生です。
ひとつの本が出版されるまでの厳しい世界、どろりとした側面。書店経営の難しさと、本を愛する人たちの想い。そのどれもが非常にリアルで、自然で、つい「小説」と「現実」の境目が脳内で曖昧になってしまうほどです。
自らの本を世に出すことを目指している方、本が好きな方ならきっと、深く突き刺さるのではないかと思います。
主人公、ミュゲ書房、みんなのもとに、再び幸せが訪れますように。
これからも、彼らの未来を祈りながら拝読したいと思います。