挫折という名の毒を乗り越え、幸せの花が咲きますように

 北国の書店「ミュゲ書房」を舞台にした物語。
 端正で清潔な香りのする筆致で描き出されているのは、出版や書店を取り巻く厳しい現実、そして主人公の挫折と再生です。

 ひとつの本が出版されるまでの厳しい世界、どろりとした側面。書店経営の難しさと、本を愛する人たちの想い。そのどれもが非常にリアルで、自然で、つい「小説」と「現実」の境目が脳内で曖昧になってしまうほどです。
 自らの本を世に出すことを目指している方、本が好きな方ならきっと、深く突き刺さるのではないかと思います。

 主人公、ミュゲ書房、みんなのもとに、再び幸せが訪れますように。
 これからも、彼らの未来を祈りながら拝読したいと思います。

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