本を読み、書く。それはまるで、人生の道を照らし、光で包む灯台のような。

世界の片隅を照らし続ける灯台。そこで灯台守として長く働いている主人公。
ある日、そこに一人の女性が流れ着き……。

緻密な織物のように丁寧に紡がれた物語は、「SF」というジャンルの中で、人の細やかな心の動きや秘めた想いを鮮やかに描き出しています。

異なる国、異なる環境で生まれ育った主人公と女性を結びつけたのは、一冊の本。
その本が鍵となって、本を読むこと、物語を書くことの意味や喜び、さらにその先にあるものが広がっていく。
このあたりは、読むことや書くことが好きな方なら、きっと心を揺さぶられると思います。

そして二人は、やがて。

現実世界で起きていることにも通じるような問題に、鋭く切り込む場面もありながら、優しく「人」に寄り添う物語。
素敵な作品を読ませてくださり、ありがとうございました。

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