第20話 お菓子の家

最近店舗で販売されたボードゲーム。

お菓子の家。

このゲームが今カードゲーム研究部でも人気だ。


みんながお菓子の家をプレイしてる中、僕も混ざってプレイする。


お菓子の家にお菓子カードの山札として置く。

プレイヤーにイベントカードを4枚ずつ配る。


「へぇ、このゲームはみんなで山札を構築してくゲームなのか。確かに斬新で人気が出るわけだ」


イベントカードには6種類ある。


ありカード。

このカードを引いたプレイヤーは手札を1枚捨て札に送る

お菓子職人

このカードを引いたプレイヤーは捨て札のお菓子カードを2枚手札に加える

もうひとうは次の人の順番をスキップする。

強奪

相手の手札を1枚自分の手札に加える

交渉

相手と自分の手札を全て手札に加える

おすそわけ

全プレイヤーは右のプレイヤーにお菓子カードを1枚渡す。

ごみ箱

山札の1番上のカードを1枚捨て札に送る。


このゲームはお菓子の山から1枚引いた後、自分の手札のカードを1枚山札の下に置く。これを繰り返していき、お菓子カードの山札が0枚になったら勝負所だ。


「これで山札が構築された。みんなは何枚目に自分のどんなカードが来るかは分かっているな」


そう、これはただのゲームではない。

心理戦だ。


ごみ箱は次にくるカードを1枚ずらすことが出来る。

一見何の効果がないように見えても、そうではない。


プレイ人数は6人。

それぞれが1枚ずつカードを山札の下に置いてくわけだが、どのタイミングでどのカードを仕込むか。

手札のお菓子カードが増えるほど、自分の得点がどれくらいになるかが計算できる。後半になるほど、点数を大体わかるから、最後に交渉カードで逆転の1手もできる。でも交渉カードは諸刃の剣。相手に使われると、その1枚だけで負けてしまうこともあるだろう。


「はじめは僕のターンからだね」


まずは部長の歩さんからだ。


「おすそわけカードだ。みんなでカード交換だよ」


得点が2点のお菓子が回ってくる。

セオリーなら相手プレイヤーに点数が低いお菓子カードを渡せばいい、

だが、3週目の自分の番には交渉のカードが回ってくる。


僕はあえて得点が高い9点のカードを渡す。


隣の雄二さんは驚いてるようだ。

まあ、点数が低いカードを渡すのが当たり前で、相手に点数の高いお菓子を渡す人はめったにいないだろう。


だが、これも僕の作戦だ。


「次は私ですね」


西沢さんの番だ。


「ごみ箱ですね。これで山札の1番上のカードを1枚捨て札に置きますね」


がーん。

これで交渉を使える可能性は下がった。


次のターンのカードはお菓子職人。

捨て札お菓子カードを2枚手札に加え、次のプレイヤーの順番をスキップするカードだ。僕がしこんだカードでごみ箱で山札が捨て札に送られたら、お菓子職人のカードを自分では使えなかったのが痛い。


そしてようやく回ってきた僕の番。

引いたカードは。


「げ、、アリ・・・」


ありカードは自分の手札を1枚選び、捨て札に置く。

手札は3枚。

得点の合計は10点。


残りの山札は4枚・・・。


「私は強奪です!・・・ごめんなさい本田くん。1枚もらいますね」


おいおい、僕の手札って1番少なくないか・・・。

これで2枚で得点の合計は6。


最後のカードだ。

僕はカードを引く・・・。


「交渉カードだ!!!」


だが、後はだれに対して使うかだ。

手札が1番多いのは西沢さんの7枚で、次は雄二さんの6枚。

歩さんは5枚。


枚数的には西沢さんが一番多いから、西沢さんと交換すべきかもしれない。

だけど、お菓子職人の効果で捨て札から手札に加えたカードはどれも得点が低いカードだった。そしておすそわけのカードで雄二さんに渡してたカードは得点が高いカード。ならば・・。


「僕は雄二さんと交換します」


「なんですと!?」


手札を交換する。

思った通りだ。どれも得点が高いカードばかりだ。


「さて、手札公開だ」


僕たちは手札のカードを交換する。


「今回は僕の勝ちですね」


僕の読みは当たってて、雄二さんの手札の得点が一番高かった。


「なるほどね、これが人気のボードゲームかぁ」


ルールもシンプルだし、戦略性、ランダム性、ワクワク感

、心理戦、読みあい。そのすべての要素があるゲームだ。


デッキを構築するゲームは西沢さんや1人用カードゲームの冒険者と不思議のダンジョンがあるが、1人のプレイヤーではなく、全部のプレイヤーで1つのデッキを構築するゲームはカードゲーム界で初めてだろう。


僕はこんな濃いカードゲームを作りたい。

素直にそう思う。


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