第5話 カードゲーム研究部

ついに御蔵高校の合格発表日。


1291・・・

1291・・・


「あ、あった!」


よっしゃー!ついに僕は。やり遂げたぞ!

といってもこれからが勝負どころだけどね。


「お母さん!私、受かったよー!」

「咲、よかったねー!」


西沢さんだ・・・。

彼女もここの高校受かったのか。


まさか、西沢さんもこの高校を受けてたとは思わなかった。


ようやく僕の夢の始まりが来たんだ。

待ち望んだ現実。昂揚。


僕は高校を通う日まで、相変わらずカードゲームのアイデアを考え続けている。

だが、これといったゲームはまだ完成していない。


「そろそろ、入学式か」


僕は制服に着替え、家を出る。

御蔵高校にはまだであったことないカードゲームの世界が待っている。

そこに土足で踏み入ることにはなったが、後は成り行きに任せてみよう。

カード研究部なのにカードを1つも持って行かないのはさすがにまずいか・・・。


「失礼しまーす」


今日からカードゲームの一員になるというわけで、入部届けを提出した。


「本田誠くんだね。了解了解、ようこそ!わがカードゲーム研究部へ。部長の歩です。よろしくね」


「よろしくお願いします」


部長の歩さんか。見た目でいかにもカードゲームやってますって顔してたな。

部室の雰囲気はテーブルがいくつかあって、それぞれグループでいろんなジャンルのカードゲームを扱っているようだ。


自作カードゲームグループもあり、そこでは今まで見たことないような独自のゲームで遊んでいた。

隙間からどんなゲームをやっているか見てみた。


ユニットとユニットを戦わせるゲームのようだが、かなり特殊なものだ。ユニットには技、魔術、必殺技のコマンドがあり、使う特技によって、ユニットの表示形式が変わるものだ。形式には3種類ある。

ユニットのHPが0になったらトラッシュに送られるが、ダメージがHPを超えた分、デッキから墓地に送られる。


いろんな特技を匠に操り戦うゲームか。自由度があって面白いね。


「あ、新しく入った本田君かい?よかったら僕のゲームもやらない?」


「はい、僕でよければ喜んで」


「僕は雄二よろしくね」


このゲーム研究部の中で1番背が高くのっぽな人。

この人も自分のカードゲームを持っている。

次はどんな世界を拝めるだろうか。


「僕のゲームはグリーンジャッジだよ」


グリーンジャッジ。一体どんなゲームなんだ・・・。


「じゃあ、ルールを説明するね。デッキはこの40枚を使うんだ」


僕は雄二さんから、このグリーンジャッジのカードゲームをプレイする。


このゲームはゲーム開始時、デッキから先攻は7枚、後攻は6枚ドローする。

さらに5枚のカードを山札からごみ箱に送る。


そして先攻のターン開始時に市場から1枚カードを表にする。

そのカードには値段が書かれており、話によれば、20000から120000円まであり、1ラウンド終了時に表にしたカードの値段が場のカードの値段に近い方が勝ちというゲームだった。


家具カードと住人カード、サポートカード、そしてプレイヤーには最初に2ポイントが与えられる


ポイントは掛け算の役割があって、例えば、場のカードの値段が5000円でポイントが2点の場合、10000円が自分の値段になる。


このゲームの特徴はほぼ全部が今までにないカードゲームだが、その中でも1つ取り上げるとしたら、フェイズの順番である。


このグリーンジャッジは

1・メインフェイズ

2・相手メインフェイズ

3・ジャッジ

ここで2枚ドローし、金額が近い方が後攻になる

4・先攻メインフェイズ②

5・後攻メインフェイズ②


「誠君は自分でカードゲームを考えたりはしてるかい?」


「一応考えてはいるんですけど、なかなかアイディアが出なくて」


「そっか。アイデアは他のカードゲームのアイデアを一部取り入れて、一部をアレンジするところから始めるのもありだよ。それにブログやyou tubeやツイッターなどで自分のカードゲームを広げるチャンスはいくらでもある」


そうだ・・・チャンスはあるんだ。

後はアイデアを出すだけだ。

僕はオリジナル性を意識しすぎたかもしれない。


「僕の勝ちだね。本田君。どうだったかな?」


「先輩方はすごいです。僕は大海を知らない蛙だったのかもしれません。僕にはカードゲームの実力もないし、才能もありません。情けない限りです」


すると雄二さんと歩さんは僕の両肩にポンと手を置く。


「なら強力してカードゲームを作ってみないかい。この3人なら面白いゲームができると思うよ」


「さすが歩さん!面白いことを思いつきますね!誠くん。やってみないか?」


二人のやさしさに目から雫がこぼれる。

一人では無理かもしれない。

いや、一人で作るだけの能力はまだないというべきかもしれない。


でもこの2人なら何か生み出せる気がする。

そうだ、僕はこのためにここ(御蔵)に来たんだ!



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