第9話 テストプレイ
「よし、そろそろ時間だな。みんな。部活終了だよ」
「もうこんな時間か」
部活が終わると、僕は今日作ったカードのエクセルデータを自分のUSBメモリに保存した。
残りは家で作業しよう。プリンターも家にはあるしね。
そういえば、カードを作るにはスリーブがいるよな・・・。
40枚分のスリーブだ。
スリーブは安いものだと300円前後だが、滑りやすいという欠点がある。スリーブは1つ基本的には50枚だが、実は51枚入ってる。こういうサービスってどこにでもあるんだよね。
忘れてたことがある。
テストプレイをする場合はデッキが2ついる。
まあ、同じデッキを2つ用意するとして、スリーブもあと50枚分いる。100枚スリーブを買わないとゲームは出来ないんだ。予算的にプラスチックでカードは作れないし、テストプレイにそこまで力を入れる必要はない。
スリーブに市販のカードを挟んで印刷した紙をスリーブに入れれば、完成だ。ただ時間はとてもかかる。紙を印刷してそれを全てハサミで切る。先輩たちの話では2時間はかかることもあるらしい。
僕は自宅のパソコンでエクセルを開く。
「念のためにミスがないかチェックしないとな」
30分はたっただろうか。カードゲーム活動は本当に体力がいる。アイデアを考えるのも大変なのに設定、印刷、カット作業、テストプレイ。1人だけで出来ないことはないが、とてつもなく労力と時間がかかる。だけど世の中には全て1人でやる人もいるんだ。いつかはそういった人とつながってみたい。まあ、カードゲーム研究部にいるのだが。
A4の紙に6つのカード。
それを7枚で42枚
デッキが2ついるから、さらに7枚。合計14枚。
「これを全部きるのか・・・。気が滅入るな・・・」
自作カードゲームがマイナーなジャンルであるのは、そもそもゲームをできる環境をそろえるのが大変だという点がある。
ただ、カードゲーム制作は手間がかかるが、紙を切ってる間、自分のカードゲームが完成していくワクワク感を少しずつ感じるんだ。
僕は作業に集中する。
1時間ぐらい経った。
作業してたから時間間隔がない。
感覚的には10分くらいに思ってても、実際には1時間だ。
「さっそくプレイしてみるか。えっと・・・相手は」
残念ながら僕の家族にはカードゲームが分かる人間はいない。
「自分でやるか・・・。明日は部活休みだし・・・」
今の心境は明後日までのんびり待つことは出来ない。1秒でも早く、プレイしてみたい気分だ。カードを作ればわかる。作ったらすぐプレイしてみたくなるものだ。
「というわけでテストプレイをするわけだが・・・」
僕はこのゲームにいくつか必要なものがあることに気づいた。
ダメカンとレベルをメモするもの。
ダメカンは引き出しのおはじきを使えばいいが、レベルまでおはじきにすると分かりにくい。
「どうしようか・・・」
1つ思い出した。
レベルは1から6だからサイコロでいい。
モンスターゾーンは4か所。相手の場所も考慮したら、合計8か所だ。
つまりさいころが8ついる。
「さいころ8つ、おはじきたくさん。こんなところか」
僕は家中を漁って道具をそろえる。
これで準備が出来たというわけだ。
「デュエル(一人)!」
「俺のターンドロー!ってなんかむなしいからセリフいうのはやめとくか」
僕は手札を確認する。
自分と相手の分を両方見ないといけない。
手札は6枚ずつ。つまり12枚分のカードを頭にインプットし、ゲームを展開しないとできない。
ドローフェイズで毎回手札が増える。
要するに情報量は増える。
そして常に相手の立場と自分の立場になって戦略を決めないといけない。
といっても、僕は小さいころから1人でカードゲームを何回もしてきた。暇さえあれば1日の4時間くらい、カードを眺めていたこともあり、一度見たカードの情報はすぐにインプットできる。そう、僕はカードゲームが大好きだった。そして、カードで対戦することだけでなく、デッキを組むことも。そしてカードをただ眺めることも。そのすべてが好きなんだ。
「まずは、両デッキからこの2枚を最初のモンスターとして前列に出すとして、デッキから6枚ドロー。手札のカードはモンスター4体、魔法は3枚。」
魔法カードを使う。
デッキから2枚ドローってこれ強すぎん?手札が8枚になる。
まずいな、先輩たちがいうように手札が8枚以上になると、カードを整理できない。とりあえずモンスターを出してみる。前列にはFランクのモンスターがいるから、残りは後列の3体だ。モンスターが4体になる。これでモンスターを召喚できないが、となると手札のモンスターカードが全て腐ってしまう。
相手側に移る。
手札はモンスター3枚で魔法カードが4枚だ。
魔法カードでデッキから2枚ドローする。
やっぱ、ドロー強化はどのゲームでも強いな。
手札のモンスターを全て召喚する。
魔法カードは5枚。
「両プレイヤーのモンスターは全てレベル1になる。だから先攻が先に全てのモンスターのレベルが2になるから、先攻が有利。レベル2の場合、FとEのモンスターが攻撃できるということだ」
レベル2のカードの特技で与えるダメージは2~3。
最高火力の3ダメージの2回でFランクモンスターを倒せる。
Fは最初から1体いて、残り3体がEなら9ダメージと2ダメージで11ダメージ。4体いればこの状況を作れれば、Dランクのモンスターを1体倒せる。
だからといって、序盤からEやFのモンスターで固めて、敵を倒せば勝てるというわけではない。モンスターが倒されえれば、全てのモンスターのレベルが上がる。1体は倒されてるから、残り3体はレベルが上がる。隙ができた次のターンでレベルが上がったモンスターで攻撃が出来るのだ。
だが、味方の死亡でレベルが上がるシステムは、倒された方が手ゴマが少なくなるという点はある。
「何かが足りない」
僕の処女作だけあって、まだ欠陥がある。何か違う。やっぱり先輩たちのようにはいかないなあ・・・。
魔法カード・・・。
2ターン目以降は手札が魔法カードだらけになる・・・。
このゲーム。
モンスターと魔法。
どっちが主役なのだろうか・・・。
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