第17話 カードゲームプロジェクト

キャッスルモンスターズとタウンクリエイター。


この2つのゲームをゲームプロジェクトのアイデアとして出すことになった。

他の32の学校が金賞になるため、自分達のアイデアを絞り出している。


ゲームプロジェクトのサイトにはこれまで大賞となったカードゲームも載っている。金賞のカードとなれば、夢の商品化も夢じゃない。前のプロジェクトのお題は格闘ゲームだった。格闘ゲームをカードゲームにするにはコマンドごとの相性が重要だ。


大賞となったカードゲームは空中攻撃、正面攻撃、頭上攻撃の3種類のコマンドカードを使い戦うゲームだ。空中攻撃は正面攻撃に強く、正面攻撃は樹上攻撃に強く、頭上攻撃は空中攻撃に強い。この3すくみの相性とフレーム。フレームが長いコマンドはダメージが決まったとき相手にあたえるダメージは高い。フレームが短いコマンドは相手にあたえるダメージが少ない代わりに、同じコマンドの技に対し強い。例えば、同じ頭上攻撃でも、フレームが短いコマンドを出した方がダメージを与えられる。


「ストロング・ファイターか」


これが32の高校の中でトップのカードゲームだ。さすがというべきか。

アマチュアの集団ではないということだ。


城のカードゲーム。

僕ら以外の高校、または大学の人たちはどんなゲームを作っているのだろう。

前に金賞をとったのは鉄泉(てっせん)高校だ。

鉄泉のカードゲーム研究部がストロング・ファイターを出して、大賞をとったんだ。


他の高校の人はみんなライバルというわけだ。


「せっかくだし、銀賞と銅賞も見てみるか」


僕はプロジェクトの銀賞を開く。


「ゲーム名はコマンド・マスターか」


このカードゲームを発案したのは隆元(りゅうげん)高校だ。

そこのカードゲーム研究部ではyou tubeに専用のチャンネルがあって

定期的にボードゲームやカードゲームの動画を載せている。


自作カードゲームも載せてるけど、すでに商品化されてるカードゲームの

プレイ動画、解説動画を載せていて、チャンネル登録数は8000人。

収益は約七万円前後はあるという。


隆元のコマンドマスターはパンチ、キック、投げ、ガードを使い戦うゲームだ。

プレイヤーは8人のファイターから1人を選ぶ。キャラごとにHPとコマンドゲージがある。プレイヤーはコマンドのコンボを決めて戦い、いかに相手のコンボを防いでより多くのダメージを稼いだほうが勝ちで、パンチはその後のコンボにつなげるゲージの消費量が少なくなる。キックは相手をふっとばし、ひるませるコマンドだ。投げは相手が自分のコマンドに対し、ガードを出した場合のみ、投げを使える。コマンドゲージを回復し、コンボにつなげられる。


隆元の動画数は約150はある。

そんなカードゲーム研究部の部長の名前は時風。

彼が隆元のカードゲームのみんなを引っ張って活動している。

時風はもともとはガチのカードゲーマーでユナイティアの大会でベスト8まで勝ち上がったことがある、カードガチ勢だ。


「誠ーそろそろご飯よー」


「母さん、今行くよ」


僕はパソコンの電源を付けたまま1階に降りる。


「今夜はクラムチャウダーよ」



しかし、中学の時と比べて、カードゲームはテストプレイの時しかやらないけど、カードゲームをよくやるようになった。

それだけカードゲームに侵されてるってことか。


キャッスルモンスター、ユニオンクエスト。

この2つのゲームをどうやって世間に広めればいいか。

キャッスルモンスターはプロジェクトに出すゲームだからいいけど

せっかく作ったユニオンクエストはなんとかならないものか。


ケイさんにはダメ出しされたこのゲームをどう改善すればいいのだろうか。


「ツイッター・・・」


そうだ。

僕のカードゲームを拡散してみようかな。

僕はスマートフォンを手にする。


ユニオンクエストというカードゲームを作りました。

ただ、まだ完成したばかりなので、欠点や改善点を教えてください。

詳しくはブログにて・・・。


こんな感じでいいだろう。


1時間くらいたったが、反応どころかブログへのアクセスすらない。

どういうことだろうか。

だれも僕のゲームに興味を持ってくれないのだろうか・・・。


1コメント。


ようやくコメントが来た!

僕はコメントを開く。


「あまり面白くなさそう」


なんだこれ。

僕のカードゲームを全否定。

なんかもういいや。

結局僕のカードゲームなんてこの程度なんだ。

ウィンドウを閉じようとしたとき、

また1つコメントが来た。


どうせ批判コメントだろ・・・と思いながらも僕はコメントを開いた。


「初めまして。ゲームを拝見しました。私が思ったのはカードの種類をもう1つ増やすのはどうでしょうか。私はモンスターの特技を与える、特技の書というカードが面白いと思います。モンスター1体に装備させることが出来て、ランクが低いモンスターも強力な特技を使えるようになるみたいな。どうでしょうか」


嬉しかった。

自分のカードゲームをきちんと見てもらえただけでなく、アイデアを提供してくれるとは。特技の書か。


ランクが高いモンスターが使える特技もランクの低いモンスターも使うことが出来る。


これは面白い。

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