第11話 ユニオンクエスト
授業が終わった放課後、僕はカバンに入れた、僕の自作カードゲームを手に持ち、カードゲーム研究部へと向かう。
カードゲーム研究部の前に1人の部員ではない女子が立っていた。
その姿は西沢さんだった。
「あれ?西沢さんじゃん!」
「あ、本田君」
彼女が部室の前に立っているということは入部希望だろうか。
中学の時、彼女の自作カードゲームを誘われて、一緒にプレイした。
その出来は一言で言ってすごかった。
「私ね。ここに入部しようと思うんだ」
西沢さんはそう言って部室に入る。
僕も中に入る。
部室にはいつものメンバーがいて、歩さんがこちらに気づき、手を振る。
「私も部活に入りたいのですが」
「そうかそうか。女の子か!これからよろしくね」
西沢さんが作ったダンジョンフレンドモンスターズ。
あのカードゲームのようにプレイヤーがワクワク感を得られるようなカードゲーム。僕はそれを求めていたんだ。
そして僕が作ったカードゲーム。
ゲーム名は決めている
ユニオンクエスト
ユニオンはモンスター同士が合体する要素
クエストはレベル上げをしてパーティを成長を意味する。
まあ、ゲーム名は個人の好みで決めるものなので、大体のイメージが伝わればいいと思う。
「西沢さん。あの、僕の作ったゲームをやってみない?」
「本田くんも作ったんだ。いいよ。やってみよう」
「ありがとう」
僕はカバンのデッキをテーブルに置き、2つのうち片方を西沢さんに渡す。
ルールは一応wordでまとめたものを用意したけど、それは困ったときに見る程度で、実際にゲームを把握するなら、ながらプレイで感覚をつかむのがいいと思った、そのため、僕は先攻だ。
「僕のターン、ドロー」
手札のモンスターを場に並べる。その時に説明するのは召喚システムだ。モンスターにはランクがあり、それが強さをあらわすが、自由に召喚できる。1ターンに1体しか出せないみたいなルールはない。召喚したモンスターはレベル1となる。西沢さんには1手1手止めながら、丁寧に説明する。
「レベル制のゲームなんだ。どうやったらレベルが上がるの?」
「レベルを上げる方法は主に2つあるんだ。それは味方か相手のモンスターのHPが0になり、得点ゾーンに置かれたとき、または自分のターンのメインフェイズ開始時だね」
ただ、普通にモンスターを4体並べて終わりでは、ゲームとしては面白みが足りない。そこで僕が取り入れたのが、合体だ。合体モンスターはレベル2のモンスター2体を1体として合体モンスターとなる。
モンスター同士の合体。これこそが僕のゲームの見せ所だ。
僕がルールを説明しながら、2人はゲームを進めていく。
西沢さんはカードゲームを作ってるだけあって、のみこみがはやい。
僕の方が若干不利と思える。
だがこのターンだ。僕の合体モンスターのレベルが5になる瞬間。
この時、このモンスターは全体攻撃で相手に大ダメージを与えることが出来る。
「いくよ、このカードで全体ダメージだ!」
僕の渾身の一撃。
決まったと思った。
これで全体にダメージが分散したから、次のモンスターの攻撃で、後は一掃するだけだ。
「残念だけど、本田君の負けだね。私のこのモンスターの効果・・・。このカードは得点ゾーンに置かれたとき、相手モンスター1体に5ダメージで、つまりこの効果で本田君のモンスターを返り討ちだね」
「負けた・・・」
制作者である僕が負けた・・・。
女の子ってあんまりカードをやらないイメージがあるけど、その女の子に負けた。作ったばかりでルールは僕が1番熟知してる。
対戦を見てた部員から拍手される。
「やっぱ、僕はまだまだってことか・・・」
「私思うんだけど、そのゲームはまだまだ改良できると思うよ」
「うん。でも今の僕ではこれが限界だと思う。でもこのゲームを作っている時は本当に楽しかった。これが僕の限界かもね」
部長が会話に入りこむ。
「誠くん。君はまだビギナーでまだ始まったばかりだよ。限界を定めるにはまだ早すぎる。ならばもっといろんなカードゲームを作ってみたらどうだい?」
「いろんなカードゲーム?」
「そうさ、世の中にはカードゲームやボードゲームは山ほどある。何度でもトライして面白いゲームを失敗しながらでも作っていけばいいんだよ」
いろんなカードゲーム・・・。
そうだカードゲームでもボードゲームでも世の中にはたくさんゲームがあふれてるんだ。
「僕はね。君にはカードゲームを作る才能があると思うんだ。今日君がプレイしてたユニオンクエストをみて確信したよ」
僕にカードゲームを作る才能・・・。
僕にも・・・才能が・・・あるんだ!
「この部活でもみんなのカードゲームができるけど、もし本気でやりたくて、世界のカードゲームを知りたいなら、やっぱネットで活動するのがいいと思うよ。」
ネット活動か・・・。
そういえば、あまりネットで他の人がどんなカードゲームを作っているかを見たことはないな・・・。
「まあ、誠くんがやりたいようにやればいいさ。僕たちカードゲーム研究部はみんなで協力しあえるからね」
今日は僕は部員のみんなと何度も自作カードゲームをプレイした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます