猫の器

偉大な魔導師を数多く輩出している名門の魔導師養成学園、グドラシエ。
入門できるのは、満月の夜に舞う招待状によって選ばれた子供だけ。
親元から離れ、共同生活を送る子供たちは切磋琢磨し、今日も一流の魔導師を目指して……

──目指していないものもいた。
貧民街生まれの少年スーラにとって、グドラシエでの生活は夢のような環境だった。
朝昼晩にちゃんと食べられるご飯、温かいベッド、清潔なお風呂。暴力を振るう親だっていない。
──ここは天国だ。魔導師になんかなれなくていい。この平和な日常を失いたくない。
僕は魔導師なんか目指さない。

個性的な先生【ケモノ】や友達と戯れながら、
退学にならないよう、程々に頑張って暮らす彼だったが、ふとした違和感から学園の裏側に踏み込んでしまい……

※割と弱肉強食な表現が出てきますのでご注意ください※