《鬼神族》
秋村遊
赤鬼 梅木樹珠
小鬼時代
第1話 欲の花、梅花
人は鈍感だ。
我ら鬼も見えず、見えた時には怯え、逃げ出す。こちらの気持ちも知らないで。
自分勝手な生き物、それが人間。人間が自分勝手できるのならば、私も自分勝手に生きても良いのでは?と思い、『欲を食らう赤き鬼』と成り下がった。
要するに、ひどく自己中心的となってしまったのである。
だけれど、人間と友達になりたい、共存したいという願いには、いつもダメだと言われてきた。
小さい頃から
「
「なぜですか?
そこで、
私はいつもなんで
だからこそ、何度も「なんで」を繰り返す。
そう、鬼がみな自分を守るため備わっている性格。
それが、二面性。
「
殺気が溢れ出て私の足はすくむ、やっぱりこの話をしたあとの
小腹が空いた。と
「なんであんな態度をとったのだろう」と、自分の部屋で自己反省会を開き言う。さっきまでは閻魔のような恐ろしい顔をしていたのに今は涙目。
それを見るのが楽しくてついつい同じことをし、怒らせる癖が芽生えてしまう…もうすでに芽は花となり咲いたのだけれど。
だけれど、最近私の「良い趣味」はもう一人の
「…
「
結果、癒しの求めとしてざっくり五時間のだっこを要求される。
『いや、最悪じゃの、この展開。』と思ったことはもう何度目か…と切なく内心涙を流す。
だけれどあきらめてはならぬ、我らのようなか弱い小鬼には必ず英雄がいる。その正体とは、まさに、
『やっと来てくれた…!!』と、心の底から泣き叫ぶように。
ここで、
「…なにやっとんじゃこの変態兄が…」
そして、
『よし、助かった。』
これで一安心と思いきや、
逃げる私の足を
あっという間に日が暮れて、晩御飯を食べていると同時に最悪な今更感が襲ってくる。
「あっ、朝御飯全然食べていない!!」
朝御飯作成者、
この通り、人間と私たちの時間へ対する感覚は全く違うし、五感も全く違う。
・・・・・・・・・・・・
何百年経とうが忘れない最悪で、まだ見ぬ先の世で大きな変化を与えた日だった。
その日は
「えぇ〜話し相手はお前みたいな男前ではなく可愛らしい女の子がいいなぁ…そしたら飽きないだろうし、ね?君も力仕事は嫌でしょう?だから、
と、
嫌々な冷え汗をかきながら客部屋へ足を踏み入れる
胸騒ぎがしたのだ、本当にこのままで良いのかと。
「いや、僕が部屋の支度をするよ。
やはり、何かいつも通りじゃない。
結局、私と
気難しい雰囲気。
私の知識によれば、元有名な人食いで、なり損ないの人間。
どうしよう、何を話そうか。そう思っていた時に、
そして優しい声で「
契約?なんだそれは?
「…い、いえ…?」と、慎重深く警戒心高めで答えた。
その警戒心が筒抜けだったのか、
「ははは、やだなぁ
思ったよりも
本名も呼び名も知らないから
こんなに優しそうな人が星と砂の数の人を殺し、食っていた?ありえない、書物に何か間違えがあるんだ。そう心が言う。
「そもそも、契約とはなんなのですか?」と私は聞く。
その質問を聞いた後、
「うーん…そうだねぇー…いや…ん?あ、そうか、そうだな。」
主様は一人で悩んで、小鬼の疑問を簡単に説明しようと考え込んだ。
「まぁ、まとめて言ってしまえば、お仕事だよ。
その後は茶を啜り「あ。茶柱立ってる」と茶柱を観察しながら微笑んでいた。
契約とはなんだろう。
それは理解できる、完璧に。
けれど、それ以外にも何かあるきがする。もっと重要なことが。これは鬼としての勘ではなく、確信に近かった。
「…契約とは本当はなんなのですか?
と、喧嘩をふっかけた。人間のなりそこないなんかに、怯えてたまるかという気持ちで挑んだつもりだった。
でも、私は
その考え方が、すでに子供より幼稚だとは知らずに。
「ははは…」
一瞬、狂気を感じた。「何がおかしい」と私が言う、自分ですぐに気がついた。私の声も体が震えている。
彼、
怖いと、心が、脳が叫び散らす。
その心の声もうざったい。けれど共感するしかなかった。
長い一瞬、感じた狂気は目の当たりにした。
もう引き返せないということが嫌でもわかった。
だれかたすけて
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